ウマ娘―出来すぎだったゲーム―

概要


ウマ娘はCygamesによるソーシャルゲーム。競走馬を女性として擬人化させたゲームで、スマートフォン、DMMによるPCなどのプラットフォームで配信されている。
最近までプレイしていたので、振り返りを兼ねて所感をつらつらと書いていく。

まとめ


なめらかな動きと目まぐるしい表情を誇るグラフィックが最大の特長。このクオリティをスマートフォンでも軽快に動かす技術力は驚異的。元ネタをうまく活かしたシナリオや勝負服などもクオリティが非常に高く、グラフィック、シナリオ、衣装のクオリティが強みのゲームだった。
一方で強みを捨てる方向への展開が目立ち、このゲームを辞めることになった。元ネタの落とし込みが必要なシナリオへのハードルを下げつつ、他作品とのコラボも見据えたであろう異世界ネタのイベントはシナリオの出来がかなり酷い。便利な設定なので今後もこの設定が流用され、朱に交わればなんとやらでこのレベルのシナリオも増えていくのだろう。元ネタの落とし込みやキャラの扱いが良いシナリオだったので、この方向性はとても残念。
こだわり抜いた勝負服からの衣装違いの展開としても、いきなりウェディングドレスという飛道具を出してきたので、今後は季節に合わせた衣装を導入していくのだろう。
リリース当初の高すぎるクオリティに期待していたので残念だが、今後はよくあるソシャゲ路線を歩みつつ、対人イベントで盛り上げていくスタイルを取るのだろう。

 

長所


  • 圧巻のグラフィック
    ウマ娘が誇る最大の特長。ストーリーもレースもキャラがなめらかに動き、目まぐるしく表情が変化する驚異のグラフィック。レースやライブのような大人数のシーンでもクオリティが変わらない。PCで見ても満足できるクオリティをスマートフォンで、しかもかなり軽く仕上げている驚きの技術力。

  • 白熱のレースシーン
    レースシーンもこだわりが見える。キャラクターによって走り方に個性があり、スパートでは迫真の表情を見せる。プレイヤーがレース中に操作することはないが、見ていて楽しめるクオリティになっている。

  • 元ネタの落とし込みの上手いシナリオ
    実在の競走馬を元ネタにしているので、個別ストーリーはかなり配慮したものになっている。実場のエピソードを拾いつつもif性をもたせつつ、悪者を作らないように配慮されている。厳しい制約のおかげで生み出された、クオリティの高いクオリティはこの作品の強みだろう。

  • 元ネタからの落とし込みが光る勝負服
    ウマ娘の勝負服は、馬具や騎手の衣装をモチーフにしている。画像を見ると成程、と思う落とし込みがされていて面白い。

  • パワプロでおなじみの信頼と実績のある育成ゲーシステム
    育成システムはパワプロのサクセスといえば伝わる人も多いだろう。交通事故も爆弾もないサクセスと考えれば、面白さは保証されている。

 

短所


    • 強みを捨てる方向性へ進む運営
      このゲームを辞めるきっかけ。個人的にウマ娘の強みはグラフィック、シナリオ、勝負服のクオリティだろう。しかしシナリオと勝負服のこだわりを捨て、よくあるソシャゲ路線へ舵を取っている印象を受けた。リリース当初のクオリティが高すぎたのかもしれないが、せっかくの強みを捨てる方向は残念。

    • シナリオの強みを捨てる雑なイベント
      このゲームを辞めることになった最大の要因。直近の異世界ネタのイベントストーリーがあまりにも酷かった。元ネタの調査と落とし込みが必要なシナリオへのハードルを下げつつ、他作品とのコラボの導入も見据えたシナリオだったのだろう。ただ肝心の出来栄えが悪く、ウマ娘要素も異世界要素も中途半端で単純につまらない。
      キャラクターを掘り下げるイベントも選べるこの時期にあえてこのイベント、しかも便利な設定で今後も使うことを見据えているのが致命的。せっかくの強みだったシナリオに暗雲を感じた。メインストーリーなどしばらくは大丈夫だろうが、このレベルでOKが出たからには徐々にこのレベルに向かっていってしまうかもしれない。

    • こだわりの勝負服から大きく方向転換した別衣装
      前回のイベントではウェディングドレスを着用したキャラクターが導入された。一般衣装を導入することで、衣装違いキャラを導入しやすくしたのだろうが、流石にいきなりウェディングドレスは突飛すぎて浮いていた。

    • 荒れがちな対人イベント
      月一回の対人イベントとして用意されたチャンピオンズミーティング。報酬がかなり美味しいイベントだが、イベント中は界隈の空気が荒れ気味になる。対人要素が攻撃性を煽るのか、対人イベントを境にユーザーの空気が変わった印象もある。対人イベントと言うよりも、それによる雰囲気の変化が人離れを招いている印象。

    • 育成要素の不透明性
      育成要素にサイレントで修正が入っているのでは?と思う点がいくつかある。突然スキルの不具合が発生したことや、リリース当初のボーナスステージだったホープフルやジャパンカップで下位に沈むことが突然増えた点などに疑問を感じた。必要ステータスやランダム要素を修正したのでは?という印象。マスクデータが多い上にランダム性の強いゲームなので、今後もこの手の話題はあがるだろう。

少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-#2 revival 感想
―初の2.5次元作品は独特で、親しみやすくて歌が良い―

アニメと舞台を連動させているブシロードのコンテンツであるスタァライト。
舞台版は見たことがなかったが、Youtubeでミュージカルパートの無料配信があったので視聴。宝塚を除けば人生初の2.5次元舞台作品。
今まで見てきたミュージカル作品とは違ったタイプの作品で、独特の面白さを持つ作品だった。

以下メモ代わりの所感

【歌・舞台関連】

  • かなりサクサクと進むストーリーとわかりやすいキャラ付け。初見でも全く困らないわかりやすさで、かなり親しみやすい作品だった。

  • イメージよりも歌とダンスの比重が大きい。殺陣で何曲も歌うので、テンポよくいろいろな曲を楽しめる。

  • 真矢とひかりはアニメ時点から上手いと思っていたが、舞台版だと更に凄い。青嵐のメンバーは全員歌が上手い。2.5次元作品ってどれもこんなに歌が良いのだろうか、と思うぐらい歌が良い。ミュージカルは歌が良いと幸せになるので、その点で大満足。

  • 歌唱シーンは皆が舞台で歌い、1フレーズ単位でソロをする事が多いのでアイドルユニットみたいかも。歌うメンバーと殺陣メンバーを分けることが多かったので、歌のクオリティアップに役立てているのかも。

  • 意外なほど大事なセリフは歌ではなくセリフで言う。歌唱は戦闘シーンに使うことが多く、芝居と歌でシーンの区別がはっきりしている印象。歌が多いのに芝居と独立しているので、今までに見たことのないタイプの作品。

  • ソロやデュエットで一曲を歌い切ることが少ないのと、登場人物が少ないのでコーラス要員が少ない。なので全員で歌うことが多く、○○の歌という印象はつきにくいかも。

  • 殺陣はかなり効果音を多用していて、打ち合うたびに効果音が入る気合の入りよう。あれだけの効果音を合わせているのは凄い。

  • 暗転が少なく、その分奈落の出番が多い。照明はそのままで奈落に沈んでいくのは新鮮かも。

 

【キャラ関連】

  • アニメとは性格が違っている。真矢とひかりはアニメ版とかなり違う印象。

  • 天堂真矢の圧が凄い。優等生と言うより猛獣のような印象。歌とキャラがマッチしていて良い。出てくると目を奪われるぐらい圧が強い。

  • 真矢があの圧で「許しません、柳小春」は八つ当たりが過ぎるし面白い。

  • ななとまひるが歌に芝居に殺陣にと見せ場がたくさんある美味しい役。

  • 八雲先生のアクロバティックな動きが良い。軸がぶれない回転がとても綺麗。

シネマ歌舞伎
野田版 桜の森の満開の下 感想
―幻想的で美しい終盤が印象的―

概要


坂口安吾の「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を元に、野田秀樹が脚本を書き上げた作品。歌舞伎として上演されたこの作品だが、シネマ歌舞伎として映画館で上映されたので観劇。

感想のまとめ


歌舞伎らしさも失わず、それでいて現代的で親しみやすい作品。コミカルな序盤から気がつくと幻想的で壮大な世界が広がり、夢の世界に迷い込んだかのような素晴らしい構成。凄まじい滑舌でテンポよく繰り広げられる言葉遊びや、コミカルから一瞬で空気が切り替わる見得、巧みな無音の活かし方といった歌舞伎らしさもとても良い。
時に気弱で時にとても力強い耳男、無邪気さと狂気を合わせ持つ夜長姫の演技がとても素敵。クライマックスのシーンは幻想的で美しく、涙が止まらないほど美しい光景だった。

以下ネタバレ注意

“シネマ歌舞伎
野田版 桜の森の満開の下 感想
―幻想的で美しい終盤が印象的―” の
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