盗賊 / 三島由紀夫 / 新潮文庫

概要


「盗賊」は三島由紀夫の初となる長編小説。子爵の子息である藤村明秀は、失恋を経て自殺を決意する。その最中に同じく自殺を考えている山内清子と共犯となり、自らの計画を遂行していく。

感想のまとめ


観念的な作品で、結末に至る必然性が理路整然と整え得られている点が素晴らしかった。理詰めで固められた心理描写と絵画的で美しいひと時の描写とのギャップが印象的で、まさに美しい日本語を楽しむことができた。他の三島由紀夫作品に比べて少し読み難い印象があったが、作品を重ねていく中で読みやすい文章に変えられていったのかもしれない。

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歌行燈・高野聖/泉鏡花/新潮文庫
―幻想的で艶やかな短編集―

概要


泉鏡花の短編集。幻想的な作品を書く作家と聞いたので初挑戦。

感想のまとめ


独特の文体で描かれる、どこか不気味で幻想的な美しさが印象的。特に女性の艶やかな美しさと、時に美しく時におどろおどろしい情景がとても良かった。女性を美しくそして艶やかに書くことが得意な作家という印象。
特に良かった作品は「高野聖」と「女客」。
「高野聖」は僧のリズミカルな語りとともに、ゆるゆると幻想の世界へ引き込まれる感覚がとても心地よい作品。幻想的で美しく、最初に収録されたこの作品を読んだ時点で大満足。「女客」は燃え上がるわけではなく、ゆらゆらと揺れるような恋愛が良かった。
文体が古めで独特、美しさの中に妖しさ漂う作風で人を選ぶ印象。購入前に中身を少しだけ確認したほうが良いかもしれない。

以下ネタバレ注意 “歌行燈・高野聖/泉鏡花/新潮文庫
―幻想的で艶やかな短編集―” の
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