『Le Rouge et le Noir~赤と黒~ ―圧倒的な歌と演技―

概要


「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」はアルベール・コーエンによるロック・ミュージカル作品で、原作はスタンダールの赤と黒。2016年にパリで上演された作品だが、今回は谷貴矢先生の潤色・演出によって上演された。

感想のまとめ


歌と演技に特化した作品で、技術的な面では非の打ち所のない作品。ロック調で難しそうな曲を軽々と歌い上げる礼さんを筆頭に聞き応え十分な歌唱シーンと、脚本の不足を補えるだけの演技力が際立っていた。
衣装や舞台装置はお洒落だが、心情描写に乏しく余韻のない脚本が残念。点と点を最短距離で結ぶような脚本は不足こそないが情感に乏しかったのが惜しい。

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ディミトリ/JAGUAR BEAT ―二本立てでの傑作芝居―

概要


「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」は並木陽先生による「斜陽の国のルスダン」を原作とした作品で、生田大和先生による脚本・演出。13世紀頃のジョージア (グルジア王国) を舞台とした作品で、存続の危機を迎えつつあるジョージアの女王ルスダンとその夫ディミトリを中心とした物語。
「JAGUAR BEAT」は齋藤吉正先生による脚本・演出のショー作品。その名の通りジャガーをモチーフにしたショー作品。

感想のまとめ


ディミトリは全てにおいて非の打ち所がない傑作。主要メンバーが誇る抜群の歌唱力、独特のステップが印象的なジョージアダンス、登場人物の行動原理が丁寧に描かれている脚本といずれも素晴らしかった。終盤でのディミトリ、ジャラルッディーン、ナサウィーの三者三様な掛け合いが特に素晴らしかった。ハマり役揃いだが、礼さんのディミトリ、瀬央さんのジャラルッディーン、天華さんのナサウィー、輝咲さんのチンギス・ハンが特に素晴らしかった。
JAGUAR BEATはスクリーンや電飾を多用したギラギラとしたショー作品。視覚的な派手さと予想できない展開が続く作品で、びっくり箱のように楽しめるか、とっ散らかった作品に感じるかが分かれる作品。

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