オネーギン (雪組) 感想
―原作をベースにした大胆なアレンジ作品―

概要


オネーギンはロシアのプーシキンによる小説で、植田景子先生の演出・脚本による作品。
ロシアの貴族オネーギンはタチヤーナの恋心を無下に断るが、何年か後に再会した際に彼はタチヤーナへの恋に落ちてしまう。情熱的にのめり込んでいくオネーギンだが、彼の恋は実ること無く終わりを迎える。

感想のまとめ


植田先生の大胆なアレンジが最大の特徴で、それを好きになれるかが肝。個人的には中盤での掛け合いがとても素晴らしいが、原作最後のシーンのインパクトが薄くなってしまっているのが残念。台詞の掛け合いや表情・仕草の変化を楽しめる作品で、終盤へ向かうにつれて面白さが増していくタイプ。豪華メンバーを中心に歌唱シーンも素晴らしく、大作感を楽しむことができる。
抜群のビジュアルと厭世観や焦がれるような恋の表現がとても素敵だった轟さんのオネーギン、内に秘めた熱い情熱の見せ方がとても素敵な緒月さんの革命思想家、オネーギンとの腐れ縁の見せ方がとても上手な涼花さんのニーナ、輝かしい青春を生きることで現在のオネーギンとの対比が際立つ彩凪さんの若きオネーギンが特にお気に入り。

以下ネタバレ注意

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―原作をベースにした大胆なアレンジ作品―” の
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オネーギン/プーシキン/池田健太郎 訳/岩波文庫 感想
―美しい情景に引き込まれる作品―

概要


ロシアのプーシキンによる作品で、韻文小説。池田健太郎先生による翻訳は、韻文ではなく散文形式。
プーシキンを思わせる作者が、読者へ語りかけながら進んでいく独特の形式。オネーギンはタチヤーナの恋心を無下に断るが、何年か後に再会した際に彼は恋に落ちてしまう。情熱的にのめり込んでいくオネーギンだが、彼の恋は実ること無く終わりを迎えてしまう。

感想のまとめ


綺麗な情景の作品で、めぐる季節にロシアの文化、人々の心情の描き方が美しくて心地よかった。派手な物語がなくても引き込まれる、そんな素敵な作品。散文形式の翻訳は情景に浸りやすく、自分好みの翻訳だった。一気に読むよりも、じっくりと味わいながら楽しみたくなる作品。
タチヤーナがとても魅力的に書かれていて、彼女の変化していく描写がとても良かった。
オネーギンは前半の塞ぎがちで冷たい美青年ぶりと、後半での縋るように情熱的な愛を見せる姿のギャップがとても素敵だった。

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―美しい情景に引き込まれる作品―” の
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