映画 ファウスト (ヤン・シュヴァンクマイエル) 感想
―唯一無二の不気味な雰囲気―

概要


ゲーテの戯曲で有名な「ファウスト伝説」をモチーフにした作品。ファウスト博士が悪魔メフィストフェレスを召喚し、己の魂と引き換えに人智を超えた知識と幸福を得ようとする伝説がベース。主人公の男性が、地図に誘われた先でファウスト博士に扮して、悪魔メフィストフェレスを呼び出すことで物語が始まる。
シュヴァンクマイエル監督による作品で、人形劇や粘土細工、ストップモーションなどの映像技術を駆使して、独特の世界観を構築している。

感想のまとめ


かなり人を選ぶが見ていて面白い作品で、肩の力を抜いて見るより、少し気合を入れて演出などを楽しむタイプの作品かもしれない。
一見ナンセンスだがとてもロジカルに構成された演出、人形劇や粘土細工などを駆使して創り上げられた唯一無二の不気味な雰囲気がとても良かった。
戯曲版とは異なる点が多いことと、食事シーンが美味しくなさそうなことは事前に知っていても良いかもしれない。

 

以下ネタバレ注意

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―唯一無二の不気味な雰囲気―” の
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ファウスト/ゲーテ/高橋義孝 訳/新潮文庫 感想
―「とまれ、お前はいかにも美しい。」―

概要


ドイツの文豪ゲーテが誇る代表作である戯曲。「とまれ、お前はいかにも美しい。」のセリフで有名な作品。新潮文庫は全2巻で2部構成。世界の根源を極めようとするファウストは、悪魔メフィストーフェレスに自分の魂を死後に差し出すことと引き換えに、めくるめくような想いを体験させる契約を結ばせる。ファウストは様々な快楽や憎しみ、幸福や苦悩を経験し、人の生き方とはどうあるべきという答えを見出す。
学生時代に読んだ「若きウェルテルの悩み」に続く2冊目のゲーテ。

感想のまとめ


グレートヒェンとの恋愛とファウストの最期が特に素敵な作品。
グレートヒェンとの恋愛などでめくるめく思いを経験したファウストが、最期に心に思い描いた情景はとても美しい。「とまれ、お前はいかにも美しい。」と言いたくなるのも頷けるような、美しくて尊い情景がとても素晴らしい。
そしてファウストの傍らで、常に彼の願いを叶え続けたメフィストーフェレス。常に隣に悪魔とはいえ彼がいる。だからこそファウストは人生に満足できたのではないか、という気もする。常に傍らに誰かがいる、これもまた幸福なのではないかと思う。

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