冬霞の巴里 感想 ―おどろおどろしくも幻想的な傑作―

概要

冬霞の巴里はアイスキュロスのギリシア悲劇であるオレステイアをモチーフとした作品で、指田珠子先生による作・演出公演。19世紀のパリを舞台に、父を殺害した叔父と母への復讐を目論むオクターヴと姉のアンブルを描いた復讐劇。


感想のまとめ

暗くてドロドロの人間関係の復讐劇、さらにおどろおどろしくも幻想的な演出と冷え冷えとした雰囲気は人を選ぶが、好きな人にはたまらない傑作だった。時制や視点、現実や白昼夢が交錯するため情報量は多いが、少しずつ全容が見えてくることによって想像力が掻き立てられる作品で、痛快な娯楽作品ではなく考えさせられる作品になっている。
まさにハマり役だったオクターヴの永久輝さん、素晴らしい演技力が光ったアンブルの星空さん、登場シーンから完璧だったジャコブ爺の一樹さん、凄まじいインパクトで影を落としていくオーギュストの和海さん、ギラギラした目つきと皮肉屋ぶりが素敵だった聖乃さんが特に印象的。


以下ネタバレ注意

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