ALL BY MYSELF―彩風さんの軌跡を振り返る公演―

概要

ALL BY MYSELFは野口先生による作・演出のリサイタル作品。
スノー・ガーデン・シアターのトップスターであるミスター・ブルームの回顧録を出版するために、これまでの歩みを振り返っていくというストーリー。次回作で退団を迎える雪組トップスター・彩風咲奈さん自身をモチーフとした作品。

感想のまとめ

昔の作品から最新作まで、彩風さんの軌跡を振り返る公演。扱う作品の幅が広いので、ファンになった時期を問わずに楽しめる。
芝居仕立ての対談で過去を振り返るので、初見でも理解しやすく楽しめるように配慮の行き届いた公演。
男役の集大成を感じさせる彩風さん、大抜擢に見事に応えた華世さんをはじめ、多くのメンバーに見せ場が多いのも素晴らしい。

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ラティオ・ユィリスさんの3Dお披露目配信を見て

よく視聴しているVtuberのラティオ・ユィリスさんが、2024年3月2日に3Dお披露目を迎えたので、視聴した感想を綴る。配信はYoutubeで視聴可能なので、少しでも気になる要素があればYoutubeへアクセスがおすすめ。

感想をまとめると、3D姿は可愛い系で目の色とマントの動きがイチオシ、ライブシーンは臨場感が増して大満足のクオリティ、一番のおすすめはお友達からのメッセージコーナーでの楽しそうな様子。

3D姿を見ての第一印象は、実は可愛い系だったのかという驚きだった。クールな見た目でパワフルな歌声、そしてよく笑う人という印象だったので、第一印象から新鮮だった。目の色が明るくなり、頬にチークなのか赤みが差し、動きが加わったことで、可愛さがわかりやすくなったのかもしれない。特に目の色が綺麗で、豊かな表情が映えて素敵だった。3Dになってマントがよく靡くのも印象的で、動きに合わせて靡くマントに感動した。

歌は元々とても上手な人だが、3Dお披露目は絶好調。3Dで臨場感が増したこともあり、無料とは思えないほど素晴らしいライブ配信だった。どの曲も素晴らしかったが、イチオシは冒頭で歌われたオリジナル曲のSUPERBIA。ぐっと引き込まれる歌と音楽が素敵で、何度聞いても満足できる素晴らしさ。手や頭の動き、カメラワークなどのお陰で、座って歌うシーンも別の魅力があった。

普段は二時間動きっぱなしの人たちを観ているので、動きながら歌った後に疲れている様子を見て、人間って動くと疲れるのか、と当たり前の感想を持てたことも逆に新鮮だった。

配信ではお友達からのメッセージコーナーがあり、個人的にはここが一番好きだったかもしれない。歌で活動している人の3Dお披露目でこのコーナーをプッシュするのは正しくない気もするが、ワイプで楽しそうにしている姿がとても印象的で、満足度の高いコーナーだった。人柄や活動で培ってきたものが見えるコーナーだったので、メッセージを用意してくれた方々にも、しっかりと枠を取ってくれたラティオさんにも感謝したいシーンだった。

RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Bheem~ / VIOLETOPIA ―良作と意欲作―

概要

RRRは2022年に公開されたインド映画を元とした作品で、谷貴矢先生による脚本・演出。イギリス占領下のインドを舞台とした作品で、総督に攫われた少女を助け出そうと画策するビームと、イギリス警察に所属するインド人のラーマとを中心とした物語。
VIOLETOPIAは指田珠子先生による作・演出のショー作品。

感想のまとめ

RRRはダンスシーンの見応え抜群。綺麗にまとまったストーリーも強みで、ショーと芝居との中間に位置するようなバランスの作品だった。
VIOLEATOPIAは芸術性重視のショーで、普段の宝塚というよりも美術館の企画展示のような作品。幻想的で美しいシーンが多く、不気味なシーンが強烈なアクセントになっていた。個人的には初見では合わなかったが、この意思は尊重したい作品。

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運命予報をお知らせします
―荒削りだが恋心に向き合った意欲作―

【プレイまで】

「運命予報をお知らせします」はヨナキウグイスによる作品。現在は活動していないブランドだが、ウグイスカグラで活躍されていたルクル先生がシナリオを手掛けている。

本作を入手したのは2017年頃まで遡る。当時はルクル先生の所属するウグイスカグラが飛ぶ鳥を落とす勢いで、「紙の上の魔法使い」、「水葬銀貨のイストリア」、に続いて第三作目の「空に刻んだパラレログラム」を制作していた。「紙の上の魔法使い」に心奪われ「水葬銀貨のイストリア」を楽しんでいたこともあり、「空に刻んだパラレログラム」が発売される少し前に本作を購入した。

しかし「空に刻んだパラレログラム」があんまりな作品だったので心が離れてしまい、本作も積んだ状態となっていた。

断捨離中に気が変わり、せっかく購入した作品だからプレイすることとした。

【感想のまとめ】

問題点も多いがテーマに真摯に向き合った意欲作でもある。
恋心にきちんと向き合ったという点では非の打ち所のない作品だが、伏線が巧みすぎて真逆の印象をもたれるリスクすらある。
メタ要素が強いが空回り気味で、メタで提示したテーマに対する回答には肩透かしを食らった。
サブキャラが強く、ヒロインが弱い作品でもあった。
好きになったキャラは林檎や観月、嫌いになれないのは帚木。

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オペラ座の怪人 (ケン・ヒル版) ―最初のミュージカル版―

【観劇まで】

2023年12月に X (Twitter) でプロモーションが流れてきた。2024/1/17から1/28にかけて、ケン・ヒル版のオペラ座の怪人が東急シアターオーブで上演されるという内容だった。

人生初の英語版ミュージカル観劇を好きな原作作品で迎える、そんな絶好のチャンスを逃さないよう、すぐチケットを購入した。

オペラ座の怪人といえば様々な作品が存在するが、原作小説、アンドリュー・ロイド・ウェバー版の映画とロンドン公演 (BD) 、 Arthur Kopit版 (宝塚) を視聴していて、どれも素晴らしい作品で、特に宝塚雪組版は現雪組トップスター彩風咲奈さんのファンになった作品でもある。長年愛しているオペラ座の怪人の新たな一面を楽しめる日を心待ちにしつつ、2024年の当日を迎えた。

余談だが、オペラ座の怪人は原作、アンドリュー・ロイド・ウェバー版、Arthur Kopit版とで大きく異なる作品である。ケン・ヒル版も大胆なアレンジがあると予想していたが、英語公演+字幕表示ならばなんとかなるだろうと予習はせずに当日を迎えた。

【感想 (ネタバレなし)】

原作の雰囲気を残したアレンジで、神出鬼没で恐ろしいファントムを体験することができた。
ミステリー要素が強く、物語がどう進んでいくかを楽しめる作品となっている。コメディ要素も強く、シリアスな場面でも差し込まれるのは人を選ぶ要素かもしれない。
楽曲はオペラやアリアをベースとしていて、オペラ風な歌唱シーンが素晴らしかった。特にポール・ボッツの歌唱が素敵だった。
英語がはっきりしているので比較的聞き取りやすく、簡潔にまとめられた字幕もあるので初の英語版ミュージカルにもおすすめ。

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