概要
ベルサイユのばらは池田理代子先生による漫画を舞台化した作品で、脚本は植田紳爾先生、演出は植田先生と谷正純先生。
原作はフランス革命を描いた群像劇で、少女漫画界の金字塔ともいえる作品。宝塚による舞台化から50周年を迎え、本作はスウェーデン貴族のフェルゼンを主役として描かれている。
感想のまとめ
宝塚のイメージをそのまま実現したような公演で、歌舞伎のような型芝居が特徴的。
彩風さんの退団公演に合わせたフィナーレは、圧巻の仕様。
見せ場がビシッと決まるクラシカルな演じ方や表情や手の動きで語る辛抱役ぶり、最後の最後まで伸びやかで美しいダンスで有終の美を飾った彩風さんのフェルゼン、王妃に見せる表情と見せない表情との使い分けで王妃への愛と国王の苦悩を演じ分けた奏乃さんのルイ16世、真っ直ぐな演じ方が革命に燃える姿に重なる華世さんのベルナールが特にお気に入り。
以下ネタバレ注意
感想
- ファンの未練を解消してくれる流れの集大成
彩風さんのファンとしてはすべての未練が解消されたと思う。
勿論寂しくもあるが、退団発表後の流れが完璧なものだった。
彩風さんで観たかった姿の最後のピースが埋まる公演だった。
クラシカルな演技や辛抱役ぶりや伸びやかなダンスが素晴らしい。
配信での視聴だが、サヨナラショーの黒燕尾も素晴らしかった。 - 宝塚というイメージの象徴
宝塚のイメージをそのまま実現したような公演。
豪華な衣装や綺羅びやかな舞台、美しい所作はまさに非日常。
大人数のダンスシーンや印象に残る歌唱シーンも素晴らしい。
見せ場もわかりやすく、宝塚を初めてみる人にもおすすめ。 - 型芝居の極致
宝塚の中でも歴史ある作品で、まるで歌舞伎のような型芝居。
大仰な演技や台詞回しが決まっていて、芝居の充足感が強い。
型芝居の合うメンバーが多く、現体制の雪組の集大成だった。 - 原作履修者向け
誰もが知る傑作だからか、原作の履修を前提条件に感じた。
ダイジェスト版として観ると良いかもしれない。 - 有終の美を飾るフィナーレ
観ていて一番驚いたのがフィナーレ。
彩風さんは登場後、パレードまでノンストップ。
ショーのない一本物とは思えない充実ぶり。
彩風さんの有終の美を飾るにふさわしい、最高のフィナーレ。
退団公演に最高の演出をしてくれた先生方に感謝。 - バランスの良い場面選定
フェルゼン編だが、場面選定はバランスが良い。
主要人物の結末をひと通り観ることができる。
個別
- 彩風さん (フェルゼン)
贔屓の方の退団公演として、最高の公演。
退団公演にして、彩風さんらしさの集大成。
暗転際まで美しいクラシカルな演じ方がとても綺麗。
辛抱役として、表情や手の動きで語る演技はまさに有終の美。
王妃に向ける優しい眼差しや、第一幕最後の輝く表情が印象的。
最後に奈落へ沈む際の表情や立ち姿は、涙が出るほど美しかった。
衣装の着こなしや所作も完璧で、惚れ惚れする美しさ。
柔らかな歌声で、愛の喜びと悲しみを歌う姿も印象的。
しなやかで伸びやかなダンスが最後まで素晴らしかった。
フィナーレも最後の回転まで超高速なパワフルぶり。 - 夢白さん (マリー・アントワネット)
ハードルの遥か上を行くはまり役。
華やかな姿は勿論、歌舞伎めいた台詞回しもとても似合う。
想像をはるかに超えたのは、第二幕の演じ方。
ステファン人形を抱える哀愁漂う姿がとても印象的。
王妃としての威厳を持ち、処刑台へ向かう姿も美しかった。 - 朝美さん (オスカル)
二番手最後の役にして、一番のはまり役かもしれない。
バスティーユ襲撃を声高に宣言する力強さが素晴らしかった。
今宵一夜で揺れ動く不器用な女性ぶりの演じ方も印象的。
フィナーレで彩風さんに振りを完璧に合わせてくれて素敵。 - 縣さん (アンドレ)
惚れ惚れするビジュアルで、これだけでも大成功のアンドレ。
フェルゼンとの掛け合いや今宵一夜での必死な姿が印象的。
公演ごとに着実に上手くなっていて、今後もとても楽しみ。 - 諏訪さん (ジェローデル)
語り手要素の強い難しそうな役柄だが、流石の演じぶり。
押し出しすぎず引きすぎず、絶妙なバランスだった。 - 華世さん (ベルナール)
いつ観ても思うけれど上手で華がある。
真っ直ぐな演じ方が革命に燃えるベルナールにぴったり。
革命での力強いダンスも印象的で、配置だけでなく目を引く存在。
抜擢に見事に応え続けているので、今後も期待。
大千秋楽の配信で涙を堪えている姿が印象的だった。 - 奏乃さん (ルイ16世)
芝居巧者ぶりが本当に素晴らしかった。
王妃への表情は常に優しく、悩む姿は王妃の見えない角度でのみ。
王妃への愛と、国王としての苦悩を見事に見せてくれて感動した。 - 汝鳥さん (メルシー伯爵)
人情の見せ方がとても上手で素晴らしかった。
背景となるシーンがなくても王妃との年月を感じさせる見事な演技。 - 夏美さん (グスタフ3世)
フェルゼンとの問答での、声による演技が素敵だった。
トーンの変化だけで引き込んでくる問答が素晴らしかった。 - 万里さん (モンゼット夫人)
杏野さんとのアドリブシーンが印象的。
いろいろな内容で場を盛り上げて去っていく職人ぶり。
第二幕での会話で “おっしゃる” に強意を置くさりげなさも巧み。 - 悠真さん (ブイエ将軍)
登場した瞬間に対立関係とわかる雰囲気づくりが流石。
オスカルのセリフに被せるため息が絶妙で、嫌な役ぶりが見事。
パレードでは嫌な役ぶりが全く無いので、そこも必見。 - 久城さん (デュガゾン)
ひと目見てわかる曲者ぶりで、細かな演技がとても素敵だった。 - 叶さん
衛兵隊が民衆側に立つシーンでの演技が印象的。
軍人でもないのに銃を向けられたら怖いよな、と納得の怯えぶり。
それでも逃げない姿に、市民の決意を感じてしみじみと観ていた。
場面は前後するが、革命のシーンのダンスも格好良かった。 - 野々花さん (ロザリー)
色々な役柄を演じてきた野々花さんにピッタリの役柄だった。
オスカルたちの前と、王妃のお世話をする姿との演じ分けが印象的。
オスカルの死に絶叫する姿がとても悲しく、涙を誘われた。
王妃の威厳を尊重するシーンは、そんな彼女が得た信念を感じた。 - 音彩さん (ジャンヌ)
堂々たる悪役ぶりで、多くの人の印象に残ったであろう役。
歌も上手、アクの強い役の演じ方も声色まで変えて見事の一言。