CITY HUNTER / Fire Fever! 感想
―名前の通り激しいダンスショー―

概要


CITY HUNTER―盗まれたXYZ ― は齋藤吉正先生による脚本・演出による公演。原作は北条司先生によって週刊少年ジャンプで連載されていた漫画作品。1980年代の新宿を舞台に、探偵・暗殺・要人警護などを請け負うスイーパー・冴羽獠を描いたハードボイルド・コメディ。
Fire Fever!は稲葉太地先生による作・演出による作品。

感想のまとめ


CITY HUNTERは原作や当時の東京への深い愛が特長の脚本で、散らかり気味のストーリーや微妙すぎる時事ネタを愛で許せるかで好き嫌いの分かれる作品。ビジュアルや動きの再現度の高さ、詰めに詰めたエピソード、生オケでのGet Wildなどが見せ場。特に限界まで低音で、色気を漂わせながら歌う彩風さんのGet Wildが好きなシーン。
Fire Feverは激しいダンスショーで衣装をバンバン変えながら大人数で踊っていく派手な演目。その中でも彩風さんが終始出ずっぱりで歌って踊ってトップとして引っ張る姿が凄まじい。歌唱シーンも様変わりし、彩風さんと朝美さんの癖のある歌唱、奏乃さんや久城さんの綺麗な歌唱を堪能できる。
徹底して研究されたコミカルな動きやハードボイルドな格好良さに加えて低音での色気を漂わる歌唱が凄い彩風さん、歌・演技・ダンスの全てで万能ぶりと男役を輝かせる技術をいかんなく発揮した朝月さん、堂々たる二番手としてすべてのシーンで安定感のある朝美さん、巨漢の海坊主を見事に再現した縣さん、悪役で見たい要素をすべて見せてくれてFire Fever!での歌唱も素晴らしい久城さんがお気に入り。

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オネーギン (雪組) 感想
―原作をベースにした大胆なアレンジ作品―

概要


オネーギンはロシアのプーシキンによる小説で、植田景子先生の演出・脚本による作品。
ロシアの貴族オネーギンはタチヤーナの恋心を無下に断るが、何年か後に再会した際に彼はタチヤーナへの恋に落ちてしまう。情熱的にのめり込んでいくオネーギンだが、彼の恋は実ること無く終わりを迎える。

感想のまとめ


植田先生の大胆なアレンジが最大の特徴で、それを好きになれるかが肝。個人的には中盤での掛け合いがとても素晴らしいが、原作最後のシーンのインパクトが薄くなってしまっているのが残念。台詞の掛け合いや表情・仕草の変化を楽しめる作品で、終盤へ向かうにつれて面白さが増していくタイプ。豪華メンバーを中心に歌唱シーンも素晴らしく、大作感を楽しむことができる。
抜群のビジュアルと厭世観や焦がれるような恋の表現がとても素敵だった轟さんのオネーギン、内に秘めた熱い情熱の見せ方がとても素敵な緒月さんの革命思想家、オネーギンとの腐れ縁の見せ方がとても上手な涼花さんのニーナ、輝かしい青春を生きることで現在のオネーギンとの対比が際立つ彩凪さんの若きオネーギンが特にお気に入り。

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シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!- / Délicieux 感想
―予備知識なしでも楽しめるエンターテインメント作品―

概要


シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-は生田大和先生の作・演出による作品。シャーロック・ホームズをモチーフにしたオリジナルシナリオで、ホームズ、モリアーティ教授、アイリーンにスポットを当てた作品。
Délicieuxは野口幸作先生によるレビューで、パリのパティシエをモチーフにした作品。

感想のまとめ


シャーロック・ホームズは予備知識無しでも楽しめる、エンターテインメント性に優れた作品。初見に優しく配慮された作品で、オリジナルストーリーや独自の演出による予想外な要素も楽しめる作品になっている。
Délicieuxは華やかさを全面に出したレビュー。いろいろな人が歌ったり銀橋に並んだりと、多くの人に見せ場のある作品。品のないシーンが2箇所ほどある点だけが残念。
少し社会性が高めでクールな格好良さが際立っているホームズを演じた真風さん、持ち前の華やかさ全開でアイリーンを演じた潤花さん、攻めつつもカリスマ性抜群の役作りでモリアーティ教授を演じた芹香さん、ショーでの歌・銀橋などでのパフォーマンスが素敵な留依さんがお気に入り。

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忠臣蔵 感想
―宝塚が誇る日本物の極致―

概要


忠臣蔵は柴田侑宏先生の脚本による作品。赤穂浪士の討ち入りをテーマにした作品で、当時の雪組トップスターである杜けあきさんの退団作品であり、旧東京宝塚劇場の最終公演。この公演以降一度も再演されていない作品でもある。

感想のまとめ


まるで時代劇を観ているような重厚感と宝塚らしい華やかさが調和した作品。時代背景を丁寧にまとめつつロマンスまで盛り込んだ脚本、見惚れるような美しい所作や台詞回し、伸びやかで力強い圧倒的な歌唱力とどこを見ても完璧。演技力も凄まじく、どのシーンも夢中になるほどに素晴らしい。
内蔵助を演じた杜さんの時代劇を飛び出したようなお侍様ぶり、浅野内匠頭を演じた一路さんの気品ある姿と鬼気迫る姿のギャップ、お蘭を演じた紫さんの表情の移り変わり、吉良を演じた星原さんの憎々しさが光る演技が特に印象的。

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暁のローマ 感想
―あまり構えずに見るべき作品―

概要


暁のローマは木村信司先生による脚本・演出で、シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」を原作としたロックミュージカル。古代ローマのユリウス・カエサル暗殺を描いた作品で、カエサル、ブルータス、アントニウス、カシアスを中心に描かれている。

感想のまとめ


原作の名シーンでもある演説シーンやクライマックスは秀逸。名シーンなどの見せ方が良いので、あまり構えずに美味しいシーンをつまみ食いする形で見るのが良いタイプの作品だろう。
一方で演出はかなり微妙。コメディなのかシリアスなのかわからない演出はなぜ採用されたかがわからない。歴史解釈も微妙で、ローマ史か原作を予習しないと背景を理解できないが、予習をすると歴史解釈に疑問符が浮かんでしまう。
カリスマ性と力強い歌声を見せてくれたカエサルの轟さん、苦悩する姿がとても素敵だったブルータスの瀬奈さん、演説シーンが最高だった霧矢さんがお気に入り。


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ロミオとジュリエット (2012年月組役替わり) 感想
―噛み合っている禁じ手の役替わり―

概要


原作は誰もが知っているシェイクスピアの恋愛悲劇。ジェラール・プレスギュルヴィックによるミュージカル作品を、小池修一郎先生が潤色・演出した公演。宝塚では3回目の公演。
14世紀のイタリア・ヴェローナを舞台に、対立している家柄のモンタギュー家のロミオとキャピュレット家のジュリエットが恋に落ちるが、運命の悪戯によって悲劇となってしまう物語。原作から変更点もいくつかある公演。

感想のまとめ


ロミオ/ティボルトの両方で見せ方上手で器用な龍さんと完璧なロミオぶりを誇る明日海さんだからこそ実現した、禁じ手のような役替わり。独りになったときに深い孤独を見せる表情や、マーキューシオたちとの決闘のシーンでの見せ方がとても上手な龍さんのティボルト。ジュリエットとの恋に落ちて世界が輝いて見えるようになる変化がとても素敵な明日海さんのロミオ。非常に特殊な役替わりだろうが、どちらも繊細で王道な演技がとても素敵だった。



役替わりの記事は別 (リンク) に記載。

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婆娑羅の玄孫
―愛が込められた最高の当て書き作品―

概要


婆娑羅の玄孫は植田紳爾先生の作・演出による作品で、轟悠さんの退団公演。
江戸時代を舞台に、近江蒲生郡安土を治める佐々木家の当主家次男として生まれるも家から縁を切られた佐々木蔵之介、改め細石蔵之介を主人公とした作品。正義感が強く粋な男、そんな蔵之介の生き様を描いた作品を専科の轟さんと汝鳥さん、そして星組メンバーが演じる。
  

感想のまとめ


植田先生から轟さんへの愛が込められた最高の当て書き作品になっている。蔵之介と轟さんを重ねたクライマックスは、物語としても轟さんへのメッセージとしても感動的。メリハリのある2本立てのストーリー、和物らしい美しい所作や殺陣を堪能できる構成、テンポの良い江戸言葉による掛け合いを楽しめる。
すべての所作で男役の極致を見せてくれる蔵之介を演じた轟さん、専科同士だからこその重みと阿吽の呼吸を見せてくれる彦左を演じた汝鳥さん、軽妙な掛け合いから憂いを帯びた姿まで完璧なお鈴を演じた音波さん、軽く明るく華のある江戸男の権六を演じた極美さん、ガラッと変わる一人二役を見事に演じ分けた阿部 / 頼母を演じた天華さんがお気に入り。

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ロミオとジュリエット (2012年月組) 感想
―卓越した演技力でねじ伏せた公演―

概要


原作は誰もが知っているシェイクスピアの恋愛悲劇。ジェラール・プレスギュルヴィックによるミュージカル作品を、小池修一郎先生が潤色・演出した公演。宝塚では3回目の公演。
14世紀のイタリア・ヴェローナを舞台に、対立している家柄のモンタギュー家のロミオとキャピュレット家のジュリエットが恋に落ちるが、運命の悪戯によって悲劇となってしまう物語。原作から変更点もいくつかある公演。

 

感想のまとめ


優れた演技力が魅力で、細かな仕草の魅せ方が素晴らしい。演技力が高いだけでなく、歌唱力にも優れたメンバーが多いので歌のクオリティも高い。はまり役というよりは実力で役をねじ伏せている印象を受ける点が面白い。普遍的な愛と死に対してロミオたちの決断が運命を決めていく、人間ドラマの様相が強いロミオとジュリエットだった。
表情や仕草などの見せ方が非常に巧みな龍さんのロミオ、歌・演技・ダンスのすべてが凄い愛希さんのジュリエット、シェイクスピアは戯曲作家だと思い出させる役作りと歌唱力が素晴らしい美穂さんの乳母、若手であることを全く感じさせない貫禄と歌唱力の輝月さんの大公が特に印象的。

 

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アウグストゥス / Cool Beast!! 感想
―アントニウスとクレオパトラが魅力的な歴史ファンタジー―

概要


アウグストゥス―尊厳ある者―は田渕大輔先生の作・演出による作品。ジュリアス・シーザーの後継者であり、ローマ皇帝となったアウグストゥス。彼の歩んだ道程を、ブルートゥス、アントニウスたちとの対立を交えながら描いた作品。
Cool Beast!!は藤井大介先生の作・演出による作品。野獣の見る夢を描いたラテンショー。

 

感想のまとめ


アウグストゥスは歴史ファンタジーとして観るべき作品。アウグストゥスとポンペイアが心を通わせるシーンや、アントニウスとクレオパトラのシーンなど随所に魅力的なシーンが光る。その一方で、説明不足かつ登場人物が考えなしに見えてしまうのが惜しい。野心に満ちたアントニウスを力強く演じた瀬戸さん、ファラオとしての矜持と愛を選んだ女性を見せたクレオパトラを演じた凪七さん、愛憎入り交じったブルートゥスを演じた永久輝さんがお気に入り。
Cool Beast!!は花組のバラエティ豊かなダンサーを堪能できるショー。美穂さんの歌唱を心置きなく堪能できるショーで、美穂さんと歌う音さんの歌もとても素敵。

 

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ヴェネチアの紋章/ル・ポァゾン Again 感想
―初めてにもお勧めの華やかで美しい作品―

概要


ヴェネチアの紋章は塩野七生による「イタリア・ルネサンス1 ヴェネツィア」を原作とした作品で、柴田侑宏先生による脚本・演出の作品。今回は再演として、謝珠栄先生による演出が加えられた。16世紀のイタリア・ヴェネチアを舞台に、元首の妾の息子であるアルヴィーゼを主人公とした作品。妾の子であることが原因でヴェネチアでは得られなかった貴族の地位と統治者としての未来を得るために、そして愛するリヴィアを妃に迎えるにふさわしい地位を得るために、ハングリアへの進軍を指揮していく。
ル・ポァゾン 愛の媚薬 Againは岡田敬二先生によるレビュー作品。月組で初演され、星組、花組で再演されたレビュー公演の2021年度版。

感想のまとめ


ヴェネチアの紋章は宝塚のイメージにピッタリと合った華やかさと美しい台詞回しを誇る作品で、初めての人にもお勧め。アルヴィーゼの生き方にロマンを、アルヴィーゼとリヴィアとの恋愛にロマンスを強く感じる作品。彩風さん・朝月さんの演技・歌・ダンスでクラシカルな作品を美しく見せる演技力がとても素敵。
ル・ポァゾンは上品な大人の色気が漂うレヴュー。一度聞いたら忘れられないテーマ曲が特長で、こちらも初めての人にもお勧め。彩風さん・朝月さんの歌、ダンスともに相性抜群で、一つ一つの要素が美しいダンスシーンが特におすすめ。
持ち前の華やかさと抜群の安定感で作品を引っ張っていく彩風さん、巧みな表現力が素敵な朝月さん、ストーリーテラーとして物語を回していく綾さん、歌にダンスに芝居に八面六臂の大活躍の諏訪さんが特にお気に入り。

 

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