Stella voice―前途有望な星組―

概要


Stella voiceは中村一徳先生による構成・演出の作品。星組の若手を中心とした歌とダンスで構成されたワークショップ。

感想のまとめ


星組の前途有望ぶりを発揮したワークショップ。
天華さんの貫禄あるセンターぶりが素晴らしく、柔らかい歌声としなやかなダンス、衣装の着こなしやダンスのキメ方など、経験に裏打ちされた技術力が素晴らしかった。
他のメンバーも今後が楽しみな歌唱力で、碧音さんや彩紋さん、鳳真さん、大希さんが特に印象的。

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『Le Rouge et le Noir~赤と黒~ ―圧倒的な歌と演技―

概要


「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」はアルベール・コーエンによるロック・ミュージカル作品で、原作はスタンダールの赤と黒。2016年にパリで上演された作品だが、今回は谷貴矢先生の潤色・演出によって上演された。

感想のまとめ


歌と演技に特化した作品で、技術的な面では非の打ち所のない作品。ロック調で難しそうな曲を軽々と歌い上げる礼さんを筆頭に聞き応え十分な歌唱シーンと、脚本の不足を補えるだけの演技力が際立っていた。
衣装や舞台装置はお洒落だが、心情描写に乏しく余韻のない脚本が残念。点と点を最短距離で結ぶような脚本は不足こそないが情感に乏しかったのが惜しい。

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BONNIE & CLYDE ―クラシックからシックになった新体制―

概要


BONNIE & CLYDEは脚本イヴァン・メンチェル、作詞ドン・ブラック、作曲フランク・ワイルドホーンによるブロードウェイ作品。宝塚版での潤色・演出は大野拓史先生。
1930年代のアメリカで銀行強盗と殺人を繰り返した、ギャングカップルのボニーとクライドを描いた作品。

感想のまとめ


クラシックな作品で始まった前体制とは打って変わって、シックなお披露目公演。脚本・演出が素晴らしく、中盤の盛り上がりと終盤の余韻が心地よい作品。印象に残りやすい楽曲とそれを見事に歌うメンバーも素晴らしく、聞き応えも抜群。彩風さんの完璧にも思える帽子の角度と、貫禄すら感じさせる夢白さんの堂々たる演技力は必見。

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ディミトリ/JAGUAR BEAT ―二本立てでの傑作芝居―

概要


「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」は並木陽先生による「斜陽の国のルスダン」を原作とした作品で、生田大和先生による脚本・演出。13世紀頃のジョージア (グルジア王国) を舞台とした作品で、存続の危機を迎えつつあるジョージアの女王ルスダンとその夫ディミトリを中心とした物語。
「JAGUAR BEAT」は齋藤吉正先生による脚本・演出のショー作品。その名の通りジャガーをモチーフにしたショー作品。

感想のまとめ


ディミトリは全てにおいて非の打ち所がない傑作。主要メンバーが誇る抜群の歌唱力、独特のステップが印象的なジョージアダンス、登場人物の行動原理が丁寧に描かれている脚本といずれも素晴らしかった。終盤でのディミトリ、ジャラルッディーン、ナサウィーの三者三様な掛け合いが特に素晴らしかった。ハマり役揃いだが、礼さんのディミトリ、瀬央さんのジャラルッディーン、天華さんのナサウィー、輝咲さんのチンギス・ハンが特に素晴らしかった。
JAGUAR BEATはスクリーンや電飾を多用したギラギラとしたショー作品。視覚的な派手さと予想できない展開が続く作品で、びっくり箱のように楽しめるか、とっ散らかった作品に感じるかが分かれる作品。

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ロミオとジュリエット (2013年星組) 役替わり
―あえてのチャレンジ配役―

概要


原作は誰もが知っているシェイクスピアの恋愛悲劇。ジェラール・プレスギュルヴィックによるミュージカル作品を、小池修一郎先生が潤色・演出した公演。宝塚では3回目の公演。
14世紀のイタリア・ヴェローナを舞台に、対立している家柄のモンタギュー家のロミオとキャピュレット家のジュリエットが恋に落ちるが、運命の悪戯によって悲劇となってしまう物語。原作から変更点もいくつかある公演。

感想のまとめ


個人的には、初演 > 役替わりA > 役替わりBの順で役が合っている印象。初演はまさにイメージ通りのロミオとジュリエットで、今回の役替わりAは悪くはないが初演ほどのハマり方を感じなかった。この役替わりBはあえてチャレンジしたというイメージが強かった。
天寿さんのマーキューシオがピカイチのはまり役で、ティボルトとの掛け合いが素晴らしかった。

役替わりの記事は別 (リンク) に記載。

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―あえてのチャレンジ配役―” の
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