Boiled Doyle on the Toil Trail / FROZEN HOLIDAY ―雪組100周年記念のショー作品―

概要

Boiled Doyle on the Toil Trailは生田大和先生による作・演出の作品。コナン・ドイルの前に想像上の人物であるシャーロック・ホームズが現れることで巻き起こされる物語。

FROZEN HOLIDAYは野口幸作先生による作・演出のショー作品。100周年を迎えるFROZEN HOTELを舞台に冬の休暇を描いたショーで、雪組100周年に合わせた作品。

感想のまとめ

Boiled Doyle on the Toil Trailはコミカルさの中にシリアスさも含めた作品で、わかりやすいテーマと明るい作風で親しみやすくなっている。振れ幅の広いドイルを見事に演じていた彩風さんと、名演技が光る奏乃さんが特に素晴らしかった。
FROZEN HOLIDAYはテーマがはっきりしていて、毎年の冬に見たくなる作品。彩風さん最後のショー作品にふさわしく、彩風さんが抜群のショースターぶりを発揮していた。ダンサー揃いの現体制の雪組最後のショー作品でもあり、個性豊かな雪組メンバーのダンスを楽しめる作品でもあった。

以下ネタバレ注意

【Boiled Doyle on the Toil Trail】

  • 明るくても生田先生らしい作品
    生田先生の雪組公演と言えば「ドン・ジュアン」や「ひかりふる路」、「シルクロード」とシリアスなイメージが強いが、本作はコミカルさを織り交ぜた明るい作品に仕上がっている。ただしそれだけで終わらないのが生田先生。後半にドイルの苦悩とその答えを描くことで、メリハリのある作品となっている。生田先生がコナン・ドイルを大好きな事が伝わってくるのも好ましい。

  • 共感しやすくわかりやすいテーマ
    好きなことで生きていくことの難しさを描いた本作は、非常にわかりやすい作品となっている。ハッピーエンドの明るい作品であることも相まって、親しみやすい作品である。

  • 役の見せ方が素晴らしい彩風さん
    コミカルな姿から苦悩する姿まで振れ幅の広いドイルを、彩風さんが見事に演じていた。コミカルなシーンでの動き方や、苦悩する際の表情の見せ方が素敵で、特に眉で見せる感情がとても豊かで素晴らしかった。周囲に振り回される役で多くの人物との掛け合いがあるが、間のとり方が絶妙で小気味よいテンポだった。いつもながら抜群の着こなしに加え、髭がとても似合っているのも流石。

  • ヒロインを魅力的に見せる夢白さん
    夢白さんのルイーズは強烈な個性を発揮していた。常にポジティブな言動で夫を鼓舞し、善は急げと夫の原稿を編集部に持ち込み、夫を常に信頼して支えている。そんなエネルギッシュな女性としてのルイーズをとても魅力的に演じていた。

  • 試練の役を頑張った朝美さん
    朝美さんは細身の長身でポーズが特徴的なホームズに対して、トリックスター的なホームズ像を作り上げて健闘していた。

  • 名演技が光る奏乃さん
    ドイルの父親を演じる、奏乃さんの演技が素晴らしかった。アルコール中毒に冒され入院している彼の症状や心情を、セリフ前から伝えてくる演技が光っていた。震える手で本を抱えながらのめり込む姿から、息子への想いが伝わってきて素晴らしかった。

  • 個性派揃いの編集部
    和希さんと真那さん、諏訪さんをはじめとした編集部は個性派揃い。ひたすら夢を追う和希さんのハーバート、彼に押されっぱなしの真那さんのジョージ、現実的な中間管理職感漂う諏訪さんのウィリアムの掛け合いが絶妙だった。特に諏訪さんが醸し出す、苦労人を思わせる言動がリアルで素敵だった。

  • 貫禄をつけつつある華世さん
    絶賛売出し中の華世さんは、華があって素敵だった。スタイルの良さを活かした気品ある立ち姿や聞き取りやすい滑舌、堂々たる振る舞いは役柄にふさわしい貫禄だった。演技・歌・ダンスとバランス良く上手なので、経験とともに低音に強くなるかが楽しみ。

【FROZEN HOLIDAY】

  • テーマがはっきりしているショー作品
    前半はクリスマスから正月、中盤以降は100周年、終盤は最後のショー作品となる彩風さんと退団する和希さんへの餞別とテーマがとてもはっきりしている。雪組の雪にちなんだ雰囲気とクリスマスソングが多いので、毎年の冬に振り返りたくなる作品だった。

  • 中人数での見せ場が多いショー
    前半はチームに分かれているシーンが多く、多くのメンバーに見せ場のあるショー作品になっている。チームごとにカラーがガラッと変わるので、テンポもよく感じた。

  • 彩風さん最後のショーにふさわしい作品
    次回作の一本物で退団が決まっている彩風さんにとって、有終の美を飾るにふさわしいショー作品。力強く歌い、伸びやかに踊り、どの衣装もバッチリ映えるショースターぶりを発揮していた。特に中盤の SNOW FLOWER WILL BLOOM のシーンと、終盤の和希さんとのダンスシーンが素晴らしかった。衣装の着こなしはどれも素晴らしかったが、最初や最後の白燕尾、スキーウェアやサンタ服、群舞の深緑燕尾が特に素敵だった。

  • ダンサー揃いの雪組としての集大成
    本作が彩風さん・夢白さん体制での最後のショー作品。階段降りのメンバーだけでも彩風さん、和希さん、縣さん、諏訪さん、咲城さんとダンサーが揃い踏み。長い手足が映える優雅で伸びやかな彩風さん、キレの良さと伸びやかを巧みに使い分ける和希さん、スケールが大きくダイナミックな縣さん、お手本のように綺麗な諏訪さんと個性豊かなダンサーが揃っていて素晴らしかった。

  • 歌に踊りに大活躍の和希さん
    本公演で退団が決まっている和希さんの見せ場が素晴らしかった。キレの良さと柔らかさを兼ね備えたダンスで踊りまくり、自慢の低音を響かせて歌う姿が素晴らしかった。終盤に彩風さんと踊るシーンも必見で、柔らかく伸びやかな二人のダンスがとても美しかった。

  • 久しぶりの変則デュエットダンス
    彩風さんの公演としては (確か) Music Revolution! New Spirit 以来となる変則デュエットダンスで、3組6名によるダンスシーン。靴音がよく響くのが印象的で、フォーメーションがとても綺麗。ここから彩風さんと和希さんとのダンスシーン、そして彩風さんのソロへと移っていき、緩やかに終わりへ向かっていくシーンになっている。

  • 久しぶりの客席降り
    前回の全国ツアーで客席降りを再開していたが、大劇場/東京劇場公演での客席降りも復活となった。観劇した席は諏訪さんが近めの席だったが、スラッとしていてとても格好良く、強烈な印象だった。