デパートメント・ストア/凱旋門 感想 ―初観劇の初演版―

概要


デパートメント・ストアは正塚晴彦先生による作品で、老舗百貨店がリニューアルシていくさまを描いたショー作品。凱旋門はレマルクの小説を原作とした作品。脚本は柴田侑宏先生、演出は謝珠栄先生。第二次大戦が近いパリを舞台に、亡命者の医師ラヴィックと女優ジョアンの生き様を描いた作品。

感想のまとめ


デパートメント・ストアは華やかな衣装が印象的なショー作品で、抜群の安定感を誇る轟さん・月影さんと香寿さんを中心にトップ付近の誰が歌って誰が踊ってもクオリティの高さが特長。
凱旋門は重厚なストーリーと映画のような美しさが特長の作品。どこを切り取っても絵になるラヴィックとジョアンのラブシーンやクライマックスシーンがとても綺麗で、ぜひ見てほしい作品。終わり方に違和感があるものの落ち着いたムードがとても心地よく、何度も見返したくなる。

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激情 (宙組) ―ドン・ホセの抜群の歌唱力と一癖あるカルメン像―

概要


激情は「カルメン」を原作とした作品で、柴田侑宏先生による作、謝珠栄先生による演出の作品。メリメによる小説とビゼーによるオペラ版がミックスされている作品。
衛兵の伍長であるドン・ホセが、ジプシーの女であるカルメンの虜となり、犯罪に手を染めた末に破滅していく物語。

感想のまとめ


高音から低音まで抜群の歌唱力を誇る姿月さんの歌唱力が素晴らしい作品。花總さんの一癖あるカルメン像は独特で魔性の女タイプ。情熱的に始まった恋がすれ違いに繋がり、最後は破滅に至る悲劇性がとても素敵だった。真っ直ぐすぎるドン・ホセがカルメンに惹かれて転落していく際に、頭では解っていても止められない苦悩がとても良かった。

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ODYSSEY 感想―公演中止を乗り越えて出港―

概要


ODYSSEYは野口幸作先生の作・演出による作品。ODYSSEY号を率いる海賊船の船長ブルームが、月の女神セレネと太陽の神アポロンに誘われて世界を巡っていくレビュー作品。
同年上旬に予定されていた公演だったが、コロナによる中止を受けてこの時期へ変更となった作品。

感想のまとめ


バリエーション豊かな衣装が売りのショー作品で、様々な衣装と衣装が映えるダンスを楽しむタイプの作品。抜群の着こなしや、眉を主体とした表情で心情を見せる彩風さんの強みを活かした構成で、叶さんや眞ノ宮さん、音彩さん、華世さんといったメンバーの活躍が光る公演だった。一番のお気に入りはカルメンのシーンで、彩風さんの表情は必見。

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めぐり会いは再び next generation / Gran Cantante 感想 ―宝塚屈指の歌唱力と切れ味抜群のダンスを堪能できる作品―

概要


めぐり会いは再び next generationは小柳奈穂子先生の脚本・演出による作品。フランスの劇作家マリヴォーの「愛と偶然との戯れ」をモチーフにした作品の三作目で、過去作から10年後の王国を描いた作品。
Gran Cantante!!は藤井大介先生の演出による作品で、スペインをモチーフにしたレビュー作品。

感想のまとめ


めぐり会いは再び next generationはライトなラブコメ作品で、当て書きならではの餞別が光る作品。歌唱力に優れたメンバーが多く、歌唱シーンが素晴らしい作品。
Gran Cantante!は歌もダンスもハイレベルなショーで、礼さんや美穂さんの凄まじい歌唱力や星組でしか味わえないキレの良いダンスが特長。テンポの良い作品で、礼さんの変幻自在な歌唱や美穂さんの圧巻の歌唱力、舞空さんの格好良いダンスなどが光る作品。
お気に入りはゴスペル風な曲からJPOP風な歌い方まで変幻自在な歌唱力と切れ味抜群なダンスが素晴らしい礼さん、力強く綺麗な歌声で作品のクオリティを跳ね上げる美穂さん、芝居の声のまま綺麗に歌い上げ小芝居も面白くて目を離せない天華さん、芝居に殺陣に歌にダンスとすべての領域が巧みでメンバーを引っ張っていく綺城さん、抜群のビジュアルで視線を釘付けにしてくる極美さん、低音の響きが素晴らしい輝咲さん、芝居も歌も本当に器用で素敵だった音波さん。

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めぐり会いは再び 2nd 感想 ―巧みな当て書きが光る作品―

概要


めぐり会いは再び 2nd ~Star bride~は小柳奈穂子先生による脚本・演出作品。ランスの劇作家マリヴォーの「愛と偶然との戯れ」をモチーフにした作品「めぐり会いは再び My only shinin’ star 」の続編。前作で婚約した貴族の子息ドラントと、貴族の令嬢シルヴィア。二人の結婚式前夜のゴタゴタを描いた喜劇作品。

感想のまとめ


コンパクトにまとまった作品で、前作よりも喜劇要素が減りロマンス作品に近づいている。対談した人たちの扱いも含めて、当て書きの扱いが巧みで心憎い。歌唱シーンは殆どないので、ストリートプレイを観るつもりでいたほうが楽しめる作品だろう。

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