春雷 感想
―圧倒的なビジュアルの良さ―

概要


春雷はゲーテの「若きウェルテルの悩み」をモチーフとした、原田諒先生による脚本・演出の作品。主人公のゲーテが若きウェルテルの悩みを書き上げた時代を舞台に、ゲーテと若きウェルテルの悩みの物語を交差させた構成。若きウェルテルの悩みは解説も不要な有名作品。主人公のウェルテルが婚約者のいるロッテに恋し、叶わぬ恋に絶望して死に至るまでの物語。

感想のまとめ


圧倒的なビジュアルや繊細な演技、舞台機構や演出の巧みさによって視覚的に堪能できる作品。「若きウェルテルの悩み」とは別作品なのが難点で、安直な三角関係にされてしまった点が残念。圧倒的なビジュアルとキラキラ感を誇る彩凪さんのウェルテル/ゲーテ、美人ぶりが際立っているせしるさんのロッテ、最大の見せ場で一番映える役作りをしてくれた鳳翔さんのアルベルトがお気に入り。

以下ネタバレ注意

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ファウスト/ゲーテ/高橋義孝 訳/新潮文庫 感想
―「とまれ、お前はいかにも美しい。」―

概要


ドイツの文豪ゲーテが誇る代表作である戯曲。「とまれ、お前はいかにも美しい。」のセリフで有名な作品。新潮文庫は全2巻で2部構成。世界の根源を極めようとするファウストは、悪魔メフィストーフェレスに自分の魂を死後に差し出すことと引き換えに、めくるめくような想いを体験させる契約を結ばせる。ファウストは様々な快楽や憎しみ、幸福や苦悩を経験し、人の生き方とはどうあるべきという答えを見出す。
学生時代に読んだ「若きウェルテルの悩み」に続く2冊目のゲーテ。

感想のまとめ


グレートヒェンとの恋愛とファウストの最期が特に素敵な作品。
グレートヒェンとの恋愛などでめくるめく思いを経験したファウストが、最期に心に思い描いた情景はとても美しい。「とまれ、お前はいかにも美しい。」と言いたくなるのも頷けるような、美しくて尊い情景がとても素晴らしい。
そしてファウストの傍らで、常に彼の願いを叶え続けたメフィストーフェレス。常に隣に悪魔とはいえ彼がいる。だからこそファウストは人生に満足できたのではないか、という気もする。常に傍らに誰かがいる、これもまた幸福なのではないかと思う。

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