概要
同人サークルトトメトリのノベルゲームであるプトリカ。
シリーズ作品である本作の第一作目がプトリカ 1st.cut。
かつてウグイスカグラのシナリオ・原画・音楽担当が手掛ける全年齢ノベルゲーム。

感想のまとめ
シリーズ物の一作目として綺麗にまとまった作品。
作品の世界観やキャラを見せつつ、短編としてのクオリティも良い。
丁寧に描かれた対比構造が、キャラに深みを与えて魅力的にしている。
不幸に沈み最後に盛り上がるルクル先生らしいシナリオは本作も健在。
BGM は作品にぴったりで、特にタイトル画面が素晴らしかった。
一方で予想されるテーマの割にこじんまりとしている印象。
ボリューム不足だからか、盛り上がりが少し弱く感じられた。
以下ネタバレ注意
感想
- ハイクオリティな導入編
シリーズ物の一作目としてのロープライス作品で3時間程度の作品。
作品の世界観やキャラを見せつつ、短編としてのクオリティも良い。
ルクル先生らしいシナリオで、トトメトリのカラーがわかりやすい。
導入編としてとても綺麗にまとまっていた。 - 安定のシナリオ
シナリオは良くも悪くも従来のウグイスカグラ作品と似た雰囲気。
こまめな回想で展開を予想させつつ、後出し情報でミスリードを誘う。
キャラを不幸へ沈ませつつ、最後の解決でカタルシスへ導く。
最後の決断に至るまでに描かれた信念が、魅力的な物語を作り上げる。
ウグイスカグラ作品を思い出す、安定のシナリオだった。 - 幾重もの対比構造で積み上げられたストーリー
天使と悪魔、町の人々と魔女、人と人形、教義と同性愛。
様々な対比構造を織り交ぜつつ、物語やキャラが描かれている。
この緻密さが物語やキャラに深みを与えて、魅力的にしている。
道義的に正しいか、が必ずしも答えではないこともポイント。
イルサの決断も正しいかは別として、とても綺麗に描かれていた。 - 個人的には かみまほ > イストリア > プトリカ >> ぱられろ
個人的には紙の上の魔法使い、水葬銀貨のイストリアの下ぐらい。
トップ 2 の完成度が高すぎただけで、本作も十分に楽しめた。
紙の上の魔法使い以外は尻上がりに盛り上がる作風が多い印象。
そうするとプトリカも今後、続編が出るたび盛り上がるかも。 - 予想されるテーマの割にこじんまりと感じる作品
シリーズ物の一作目だが、小さくまとまりすぎている感がした。
おそらくテーマは、レミとラズリエルがどう生きるかだろう。
旅の中で様々な人と出会い、天使や悪魔も掘り下げられるはず。
こう書くと壮大そうだが、本作はこじんまりとしたものに感じた。
町の人々との対比構造が強く、内向きに感じやすかったからかも。
シリーズが続けば更に風呂敷が広がって、解消されるはず。 - 悪い意味でも従来通りすぎるシナリオ
確かにシリーズ物の導入作としては素晴らしかったと思う。
一方で、単体の作品としたときにシナリオの合わなさも感じた。
文量が減ったせいか、最後のカタルシスが弱く感じられた。
不幸への沈み込みが弱く、その分跳ねる力も弱かった印象。
このスタイルのままだと、文量と盛り上がりの比例が続きそう。 - 音楽が良い
何が一番良かったかと言われたら、迷わず音楽だった。
花徒めとさんの音楽はウグイスカグラ時代から素晴らしい。
主張が強すぎず、作品の雰囲気にぴったりなBGMが心地よかった。
タイトル画面の BGM が特に素敵で、プレイ前に何周も聴き入った。 - 綺麗なシーンが映えるイラスト
すしめかぶ先生のイラストは可愛い系。
綺麗で繊細なタイプで、シーンがとても映えていた。
リュシーとイルサの出会いや、最後のイルサの場面が特に印象的。 - UIは機能面は絶妙な使いにくさ
パッケージ版を購入したが、UIは微妙。
良かった点は、シーンごとの回想やBGM再生が充実している点。
悪かった点は、セーブロードやスキップが不便な点。
右方向キーで高速スキップが始まってしまうのが厄介だった。 - あるべきところに落ち着いた感
全年齢の分岐なしノベルゲーになり、一番自然な作品に思えた。
ルクル先生の作品はエロゲである意義が薄いと思っていたからかも。
エロシーンはあっさり、シナリオ分岐もあまり活きない一本道。
それならば広くアピールできるこの路線になってよかったと思う。
ただ、紙の上の魔法使いの最後の選択肢はマルチエンドだからこそ。
あの奇跡がもう見られないのは少し寂しい。
