黒い瞳 / VIVA! FESTA! in HAKATA (宙組) ―ソリのシーンが必見―

概要


「黒い瞳」は柴田侑宏先生が脚本で、謝珠栄先生の演出・振り付けによる作品。ロシアの詩人であるプーシキンの「大尉の娘」をモチーフにした作品で、ロシアで起こったプガチョフの乱をテーマにした作品である。
「VIVA! FESTA! in HAKATA」は中村暁先生の作・演出によるショー作品。世界の祭りをテーマにした作品で、2017年に上演されたショー作品を博多座に合わせてアレンジしたもの。

感想のまとめ


黒い瞳は、名作であるモチーフをうまく舞台に落とし込んだ作品。ニコライとプガチョフとが語り合うソリのシーンや、随所のダンスシーンでの演出が芸術的。真風さんのニコライがはまり役であることに加え、愛月さんの貫禄あるプガチョフが公演の質を跳ね上げている。愛月さんのプガチョフはましくMVPだろう。
VIVA! FESTA! はソーラン節のシーンが最大の見せ場。爽やかかつ格好良いソーラン節は必見。

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カジノ・ロワイヤル ―ジェームズ・ボンドの格好良さを楽しむ作品―

概要


カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~は小池修一郎先生の脚本・演出による作品。イアン・フレミングの「007/カジノ・ロワイヤル」を原作とした本作は、イギリスの秘密情報部MI6に所属するジェームズ・ボンドの活躍を描いたスパイ小説の初作品。

感想のまとめ


退団公演に特化した身内向けの作品という印象。既視感のあるような得意分野に寄せた配役なので、退団者の晴れ姿を楽しむことに特化した作品だろう。特にジェームズ・ボンドの格好良さが素晴らしく、そういった楽しみ方が向いている作品だろう。
作品単体としては脚本や演出、バカラのシーンといった肝となる要素がこぞって微妙なのが残念。

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Stella voice―前途有望な星組―

概要


Stella voiceは中村一徳先生による構成・演出の作品。星組の若手を中心とした歌とダンスで構成されたワークショップ。

感想のまとめ


星組の前途有望ぶりを発揮したワークショップ。
天華さんの貫禄あるセンターぶりが素晴らしく、柔らかい歌声としなやかなダンス、衣装の着こなしやダンスのキメ方など、経験に裏打ちされた技術力が素晴らしかった。
他のメンバーも今後が楽しみな歌唱力で、碧音さんや彩紋さん、鳳真さん、大希さんが特に印象的。

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『Le Rouge et le Noir~赤と黒~ ―圧倒的な歌と演技―

概要


「Le Rouge et le Noir~赤と黒~」はアルベール・コーエンによるロック・ミュージカル作品で、原作はスタンダールの赤と黒。2016年にパリで上演された作品だが、今回は谷貴矢先生の潤色・演出によって上演された。

感想のまとめ


歌と演技に特化した作品で、技術的な面では非の打ち所のない作品。ロック調で難しそうな曲を軽々と歌い上げる礼さんを筆頭に聞き応え十分な歌唱シーンと、脚本の不足を補えるだけの演技力が際立っていた。
衣装や舞台装置はお洒落だが、心情描写に乏しく余韻のない脚本が残念。点と点を最短距離で結ぶような脚本は不足こそないが情感に乏しかったのが惜しい。

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BONNIE & CLYDE ―クラシックからシックになった新体制―

概要


BONNIE & CLYDEは脚本イヴァン・メンチェル、作詞ドン・ブラック、作曲フランク・ワイルドホーンによるブロードウェイ作品。宝塚版での潤色・演出は大野拓史先生。
1930年代のアメリカで銀行強盗と殺人を繰り返した、ギャングカップルのボニーとクライドを描いた作品。

感想のまとめ


クラシックな作品で始まった前体制とは打って変わって、シックなお披露目公演。脚本・演出が素晴らしく、中盤の盛り上がりと終盤の余韻が心地よい作品。印象に残りやすい楽曲とそれを見事に歌うメンバーも素晴らしく、聞き応えも抜群。彩風さんの完璧にも思える帽子の角度と、貫禄すら感じさせる夢白さんの堂々たる演技力は必見。

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