概要
【食聖】
小柳奈穂子先生による作・演出で、アジアン・クッキング・コメディー。世界に名を馳せる料理人ホン・シンシンはその傲慢さが仇となり、CEOのエリックに裏切られてしまう。店を失い一文無しになったホンはホーカーズを経営するアイリーンに助けられ、ホーカーズで働くことになる。ホーカーズを大繁盛させたホンは、自分を裏切ったエリックとホンの弟子リー・ロンロンに料理勝負を挑む。勝負のお題は満漢全席。満漢全席を作るために、ホンは奔走することになる。
【Éclair Brillant】
宇宙から地球に舞い降りた青年を主役とした、これぞ正統派というレビュー。
感想のまとめ
【食聖】
面白いだけではなく、現トップコンビから次期トップコンビへのバトンタッチも盛り込んだ素敵な作品。声色と表情を使い分けて誰よりもアグレッシブにホンを演じる紅さん、ピンクの髪がとても似合って可愛いアイリーンを演じる綺咲さん、気弱で挙動不審なリー・ロンロンでもあり、決めポーズが良い意味でやかましいリー・ドラゴンを演じる礼さん、子供らしい動きがとても可愛い幼少期のアイリーンを演じる綾音さんがとても印象的。
【Éclair Brillant】
紅さんはこんなに美しい人なのか、と認識が変わったレビュー。一挙一動が美しく、紅さんを見ることが出来てよかったと思えるようなレビュー。楽しみにしていた礼さんもとても素敵で、大劇場に響き渡る美声と、舞台を見渡せばすぐに判るキレの良いダンスがとても良かった。一番好きなシーンは三味線の音色に合わせた群舞で、とても美しかった。
観劇日
2019/07/26 (宝塚大劇場)
初めて見るトップスターの退団公演であり、私にとってはタカラヅカスペシャル以外で初の紅さん。
以下ネタバレ注意
感想 (食聖)
全般
- 脚本のバランスがとても良い
笑いに溢れたコメディで要所はビシッと格好良く、最後は大団円。楽しい作品であり、随所に星組のバトンタッチを思わせる演出まで盛り込んだバランスが絶妙。 - シナリオは力技、終わりよければ全てよし
満漢全席はどうしたとか、とか残り物で作った餃子の味で良いのかとかそんなことをすべて吹き飛ばすようなジェットコースターのようなシナリオ。しみじみと振り返って良かったというよりも、見終わった時に楽しかった！と言いたくなる作品。 - トップコンビのバトンタッチを思わせる演出がとても良い
ホンとリーが料理大会で星を巡って争い、星は譲ってやると言ってホンはリーへ星を託してアイリーンとハッピーエンドを迎える。星を託されたリーは、ホンよりも幸せになってやると宣言する。その傍らには、ありのままの彼を好きなクリスティーナがいる。現トップコンビがハッピーエンドを迎え、次期トップコンビが未来に想いを馳せるこの結末がとても素敵だった。ホーカーズが建て替えるのではなく、古き良きものを活かして改装される演出もまた心憎い。 - 濃いキャラクターがとても素敵
俺様から三枚目まで声色と表情を巧みに変えて演じ分ける紅さん、キレが尋常じゃなく良い意味で動きがやかましい礼さん、エネルギッシュな前半から繊細な後半のギャップが素敵な綺咲さんを始めとして、濃いメンバーの演技がどれも良い。格好良いのに売れなそう、とひと目で伝わるパラダイス・プリンスの存在感も絶妙。
個別
- ホン (紅さん)
退団公演の登場シーンが寝そべった姿。そんな強烈な印象とともに現れた紅さん。コミカルな時の声色から格好良くなる時のギャップがとても素敵だった。白目をむいて倒れたり、カメラに向かってブチ切れたり、要所はビシッと決めたりと変幻自在。誰よりもアグレッシブな演技で凄かった。思わず視線を奪われてしまうような雰囲気やコメディでの絶妙な間が素敵だった。 - アイリーン (綺咲さん)
ピンクの髪が似合うヒロインって凄いと思う。ドン・キホーテにいそうな服装でカンフーを始めたときはどうなるんだろうと思ったけれど、ちゃんと可愛いヒロインでびっくり。中盤の素直になれない彼女の演技がとても素敵。 - リー (礼さん)
最初の気弱で挙動不審な姿と、リー・ドラゴンになってからのギャップが強烈で素敵。前半のクリスティーナと握手する時の挙動不審っぷりがとても好き。リー・ドラゴンになると尋常じゃないキレで自己主張をするようになって、物凄くやかましい。イケメンで美声で動きの切れは抜群、だけど動きがやかましいというナイスキャラ。料理対決のシーンで牛魔王を見る時に足が震え気味なところも、本来の気弱な一面が見えて好き。 - エリック (華形さん)
ホンと敵対するけれど、育ての親としての愛情も垣間見える演技が素敵だった。ちょっとした表情で愛情を見せるエリックの格好良さが好き。 - クリスティーナ (舞空さん)
ダンスも歌も素敵だったけれど、一番素敵だったのは表情の変化。登場した瞬間は高嶺の花オーラが出ていた彼女だけれど徐々にその印象が変わっていって、ホンに負けたリーへ見せた表情がとても可愛くて素敵だった。 - 幼少期のアイリーン (綾音さん)
最初に凄い！と思ったのはこの人。子供らしい可愛い動きが素敵だった。 - ミッキー (天寿さん)
最初のシーンがすごく好き。あのパパっぷりと理想の家族ぶりがとても素敵。 - パラダイス・プリンスのメンバー (瀬央さん、天華さん、天希さん、極美さん、天飛さん)
出てきた瞬間の売れなそうなオーラがとても好き。売れなそうだったご当地アイドルが、時間稼ぎのために歌う時に見せる格好良さがまた素敵だった。
感想 (Éclair Brillant)
- 正統派の美しさが心地よい
アジアン・クッキング・コメディーから一転して正統派。ジェットコースターのような楽しさから一転して、見惚れるような美しさへのシフトがとても良かった。 - 紅さんのダンスがとても美しい
星組トップスター・紅ゆずるさんへの印象が大きく変わった。存在感の強い演技や歌から一転して、ダンスになると一挙一動が繊細でとても美しかった。このショーを見られて一番良かったのは、紅さんのダンスを見られたことかもしれない。そう思うような美しいダンスだった。 - 礼さんの歌とダンスがやっぱり凄い
全国ツアーでも凄いキレのダンスと圧倒的な美声を見せてくれた礼さんだけど、大劇場だと更に凄かった。大劇場に響き渡るあの美声と、舞台を見渡せば礼さんだとすぐに判るキレの良いダンス。舞台映えがとても良くて凄かった。 - 群舞のシーンが凄い
群舞のシーンは燕尾服+三味線で和風テイスト。これがとても格好良くて美しかった。ビシッと決まった群舞とあまり聞くことのなかった三味線。この相性が絶妙で、どこか寂しさを感じるような美しさがとても良かった。