概要
HiGH&LOWはEXILE TRIBEによって企画されたオリジナル作品で、野口幸作先生の脚本・演出による作品。SWORD地区と呼ばれる地域で行われる、不良グループの抗争を描いた作品。LDHとのコラボ作品でもある。
Capricciosaは藤井大介先生によるショー作品で、イタリアの伊達男カプリチョーザが各地を放浪していく作品。
感想のまとめ
HiGH&LOWはコンパクトにまとまったプロモーション作品で、SWORDの各チームの特徴をコンパクトにまとめつつも宝塚らしい要素を散りばめた野口先生の手腕が光る作品。芝居というよりもショー作品に近いかもしれない。
Capricciosaは真風さんの退団公演かのような演出が印象的で、最後のショー作品を迎えた真風さんのために寄せられた作品かもしれない。感動的な演出が随所にあり、好みの作品。
退団する留依蒔世さんを見るために視聴したが、留依蒔世さんの集大成を見ることができて本当に良かった。特に宝塚屈指の歌唱力を活かしたエトワールがとても素晴らしかった。
以下ネタバレ注意
High&LOWは未履修の状態でライブ配信を視聴。
HiGH&LOW
- コンパクトにまとまったプロモーション作品
SWORDの5チームを見せ場とともに紹介しているプロモーション作品という印象。各チームの見せ場を盛り込んでSWORDを印象付けているので、芝居というよりもショー作品に近いかもしれない。綺麗にまとめた野口先生の手腕に感心したので、HiGH&LOWにそれほど惹かれなかった自分の趣向が少し残念だった。 - おそらく原作に寄せた抗争シーン
プロモーション作品としての要素が強いのか、抗争シーンがダンスではなく喧嘩で進行するので、ダンスが控えめ。普段は喧嘩や殺陣をダンスシーンで見ているので、殴り合いだけで進行する抗争シーンは新鮮だった。 - 宝塚らしさはおそらくオリジナル
宝塚らしいシーンはコブラとカナのシーンに集約されていて浮き気味だが、日常シーンと抗争シーンのメリハリがついてちょうど良い印象。High&LOWのプロモーションを楽しみつつ、宝塚らしさを味わえる良い塩梅。
Capricciosa
- 真風さんの退団を思わせる演出
随所に真風さんが宝塚を去ることを暗示するシーンが散りばめられていて、まるで退団公演のような作品になっている。真風さんが順花さんを芹香さんへ託し、一人銀橋で歌うシーンは特に感動的。同時退団の潤花さんにその要素がないのは不思議だが、真風さん最後のショー作品として退団公演風に仕上げたのかもしれない。 - 記憶に残る留依蒔世さん
留依蒔世さんを見たくてライブ配信を視聴したが、留依蒔世さんの集大成だった。HiGH&LOWではキレたナイフのような大立ち回りを見せる悪役ぶり。Capricciosaでは客席へのファンサービスで視線を奪い、最後のエトワールでの力強いロングトーンで有終の美を飾っていて素晴らしかった。パパ・アイ・ラブ・ユー以来宙組で一番好きな人で、宝塚でも一二を争う歌唱力の持ち主だった留依蒔世さんが退団するのはとても寂しいが、宝塚男役としての留依蒔世さんを知ることができて本当に良かった。 - 変化球で印象に残ったトリプルデュエットダンス
中盤でトップ3組によるトリプルデュエットダンスがあったが、芹香さんと天彩さんのダンスが異色。芹香さんが天彩さんに視線を合わせず、それでも息の合ったダンスを見せているのがとても印象的。あえての演出なのだろうが、芹香さんと天彩さんの器用な見せ方に目を奪われた。振り返ると芹香さんは一貫して潤花さんに惹かれている役柄だった気がするので、このシーンもそういった役作りだったのかもしれない。