概要
作・柴田侑宏先生、演出・大野拓史先生の作品。舞台はフランスの植民地であったアルジェリアとパリ。パリで成功する夢を抱きながらも悪事で生計を立てている青年ジュリアンは、アルジェリア総督のボランジュの財布を盗もうとして失敗してしまう。しかしジュリアンはボランジュに見込まれ、彼の下で働くことになる。アルジェリアの貧困層からパリの社交界へ所在を変え、自分の夢を叶えるべく進んでいくジュリアンを中心とした物語。
感想のまとめ
【アルジェの男】
細やかな演技と礼さんの圧倒的な歌声が素敵な公演。低音な美声で響き渡る歌が素敵で、変化に富んだジュリアンを自然にそして格好良く演じた礼さん、本当に憎らしいジャックを演じた愛月さん、仕草で雄弁に語るアンドレを演じた極美さんが特に好き。一押しはアンドレが最後に登場するシーン、ジャックが最後に登場するシーン、そしてラストシーンでのジュリアン。極美さんのわずかな仕草から感情を観客に伝える演技、愛月さんのあまりにも自然すぎる凄まじい演技、礼さんの最後に一番魅力的になるジュリアンがとても印象的。
【ESTRELLAS】
星組のキレの良い激しいダンスと、礼さんのとてもクリアに響き渡る歌声が素敵。礼さんのファンサービスもとても印象的。客席降りだけではなく、舞台上でも二階席までよく視線をくれるし、二階席を見て手を振ってくれる。そんな礼さんにグッとくる素敵なショー。
観劇日
2019/5/9 (広島文化学園HBGホール)
人生初の全国ツアーでご当地ネタも初体験！
入場時の大行列も宝塚関連では初体験。
以下ネタバレ注意
感想
【アルジェの男】
全般
- 大きな舞台ではないからこそ、細やかな演技まで目が行き届きやすい気がする。大劇場のような目移りが止まらない舞台も良いけれど、これはこれで好き。
- 一押しは極美さん演じるアンドレが最後に登場するシーンと、愛月さん演じるジャックが撃たれるシーン。二人の演技がとても素敵だった。
- ダンスシーンが印象的。最初のダンスでの個性豊かな感じと、パリでの小奇麗なダンスが違った印象で好き。
- 礼さんの歌が凄い！クリアで一際良く響き渡る歌声が本当に素敵。
- ご当地ネタは広島名物のもみじ饅頭。ボランジュ邸でのお夜食で登場。残念ながらジュリアンは食べられなかったけれど、礼さんが楽屋で食べたとのこと。
- ボランジュ邸での小芝居が素敵。ジュリアンを見ても態度を変えないまさにプロという女性の給仕と、ジュリアンの上着を持って臭がったりしている男性の給仕。同じ給仕でも個性が出ていて素敵だった。
- ラストシーンでのジュリアンがとても格好良い。愛を知り、愛に生きようとしたあのラストシーンはとても素敵だった。
個別
- ジュリアン (礼さん)
歌がすごい！まさに良い男、という低い声がクリアに響き渡ってとても素敵。歌声が一際良く響いていて、歌がとても上手な人だった。
不良から上級階級、愛を知らない男が愛を知るという変化に富んだ役だけれど、どれも自然に演じているのも凄かった。最初の愛を知らないジュリアンも格好良くて素敵だけれど、最後の愛を知ったジュリアンが一番格好良く見えるのも素敵。
細かな演技も上手で、撃たれるシーンは撃たれた位置がなんとなくわかってくる絶妙な演技。 - サビーヌ (音波さん)
ジュリアンがパリへ経つ前のシーンがとても素敵。ジュリアンの視線があるときは気丈に明るく、視線が外れるとその表情が歪む演技がとても印象的。 - ジャック (愛月さん)
演技が本当に凄い！格好良いのに本当に嫌な男で、出番が来てほしいような来てほしくないような複雑な気持ちになるほど素敵だった。
とても印象的なのは最後のシーンでの、撃たれた衝撃が伝わってくるような凄まじい演技！音だけではなくエアガンで撃ったんじゃないかというような演技で、あのシーンを見ることができて本当に良かったと思う。 - ボランジュ夫人 (白妙さん)
強烈な印象の夫人。あの育ちの良さそうな所作と声色がとても素敵。こういう善人いるよなぁ、と思わず頷きたくなるような演技だった。ただのぽややんとした夫人ではなく、最後にエリザベートの想いを看破していたシーンでは上流階級の威厳もあって、そこも素敵だった。 - アンドレ (極美さん)
仕草で感情を見せる演技がとても良かった！出番が来る度にオペラで追うぐらい素敵。ジュリアンに惹かれるアナ・ベルを見ているシーンでは、本当にちょっとした表情や仕草でアンドレの気持ちが伝わってきて良かった。
特に最後のシーンは必見！アナ・ベルの支えとなり舞台に背を向けてしゃがんでいるシーンが凄い。顔も見えず体もほとんど動かせず、アナ・ベルに気持ちを悟らせないためにセリフは普段と同じように話す制限付き。それでも頭の動きや体への力の入れ方で、彼のやるせない気持ちやアナ・ベルへの想いが伝わってきてとても良かった。アナ・ベルには最後まで気持ちを隠したまま、観客にだけ彼の気持ちが伝わってくる演技がとても素敵だった。
【ESTRELLAS】
あっという間に駆け抜けてしまって、もっと見ていたいショーだった。星組はダンスのキレがとても良いなぁ、という印象。ハードなダンスをキレ良く踊るのがとても素敵。激しいだけではなく、終盤の白と黒で繊細さと荒々しさが入り乱れるダンスも良かった。
礼さんの歌がショーでも凄い！歌って踊ってとハードな内容でも、誰よりも響き渡る歌声がとても素敵。音がクリアで滑舌もとても良いので、早口でも聞き心地が全く変わらない所も素敵だった。
ファンサービスも素敵！客席降りだけではなく、舞台上でも二階席までよく視線をくれるし、二階席を見て手を振ってくれる！あれを見たら好きになるよなぁ、と思う素敵な人だった。
最後の挨拶では礼さんが「星組」を噛んでしまってまさかの仕切り直し。あれだけ完璧に演じて挨拶でギャップを見せられてほっこりした。