概要
めぐり会いは再び My only shinin` starは小柳奈穂子先生の脚本・演出による作品。フランスの劇作家マリヴォーの「愛と偶然との戯れ」をモチーフにした作品で、結婚相手のことを知るために、身分を偽って相手を観察しようとする男女を描いた喜劇作品
感想のまとめ
古典喜劇の王道を歩むので先の展開がわかっていても笑えるし、ロマンスで盛り上がる事ができる作品。柚希さんと夢咲さんの息の合ったラブシーンがとても素晴らしくて印象的。作品を自分の色に染め上げる、紅さんの劇薬ぶりを堪能できる。
お気に入りはカリスマぶりとラブシーンでのピカイチの格好良さが印象的な柚希さんのドラント、出てくる度に舞台が引き締まる英真さんのオランド伯爵、辛辣なセリフを絶妙な間のとり方と声のトーンで繰り出して笑いを取ってくる涼さんのマリオ。
以下ネタバレ注意
感想
【全般】
- 王道の古典喜劇
 途中で原作付きだとわかるぐらいに、古典喜劇の王道を歩む作品だった。先の展開がわかっていても笑えるし、ロマンスで盛り上がる。そんな力強さを持った作品だった。
- テンポよくまとまったストーリー
 ストーリーはかなりテンポが良く、主演コンビ以外のカップルも次々とまとまっていく。コミカルなストーリーをテンポよくまとめていくので、ダレることなく楽しむことができた。
- 歌はかなり少なめ
 歌唱シーンはかなり少なく、あまり印象に残らなかった。ミュージカルというよりは演劇作品に近いのかもしれない。
- ラブシーンに強い主演コンビ
 柚希さんと夢咲さんは抱き合っているラブシーンの印象がとても強い。柚希さんの男らしいカリスマぶりと夢咲さんのコロコロと変わる豊かな表情によって、二人だけの世界に拍車がかかっている。見せ方の上手なキスシーンや身長差、会話の間、表情などラブシーンを演じさせたらピカイチの二人だった。
- 劇薬ぶりを発揮する紅さん
 この公演で一際異彩を放っているのが紅さん。お笑い芸人のような動きで笑いを取り、作品の色を変えていくのは唯一無二の個性だろう。良くも悪くも強烈で、唯一無二のコメディエンヌだった。
 【個別】
- ドラント (柚希さん)
 まさにカリスマという華が凄い。従者の衣装を着ても隠しきれないオーラが素敵だった。ちょっとした動作の勢いから見える男らしさが格好良く、ラブシーンを演じさせたらピカイチの格好良さ。演技も素敵だがフィナーレのダンスも素敵で、一つ一つの振り付けがとても綺麗で素晴らしかった。
- シルヴィア (夢咲さん)
 ご令嬢という上品さはないけれど、ヒロインとしての可愛らしさはピカイチ。ドラントと話すシーンでのコロコロと変わる表情や台詞の間が絶妙で、トップコンビとしての映え方が素晴らしかった。
- オルゴン伯爵 (英真さん)
 貴族らしい品のある所作と遊び心のある態度が絶妙で、登場する度に舞台を引き締める演技が素晴らしかった。
- マリオ (涼さん)
 間のとり方と声色が素敵で、辛辣なセリフだけど笑いを取ってくるのが凄かった。馬鹿すぎて興味が湧いてきた、というセリフに見える感情の変化が好きで、マリオの変化が集約されているこのシーンの表情と声色がとても良かった。
- リュシドール (夢乃さん)
 とにかく肩に力が入ったような喋り方が印象的で、真面目な人だろうとすぐにわかる役作り。真面目であることを使って笑いを取る器用な演じ方が印象的。
- ブルギニョン (紅さん)
 コメディにおける紅さんは本当に異質だと感じた。派手な動きで笑いをかっさらう姿はお笑い芸人のようで、作品を紅さんの色に染めていく様は柚希さんとは違った形のカリスマ。ただ少しやりすぎな感じで、好き嫌いは分かれるタイプのコメディエンヌぶりだろうと感じた。
- リゼット (白華さん)
 ヒロインと入れ替わるという美味しい役が見事だった。歌も上手いが、アクセル全開の紅さんと息の合ったコンビネーションで笑いを巻き起こしていて凄まじかった。
- アジス (美弥さん)
 ビジュアルの押し出し方がとても上手で、異国の王子というのも納得の役作りが良かった。
- フォション (音波さん)
 この公演で一番可愛い娘役だったと思う。似合わない男装と健気な態度だが自分の愛にはとても頑固。マリオが絆されてしまうのも納得で良かった。
- エルモクラート (真風さん)
 劇作家だなんて勿体ないような華のあるビジュアルが印象に残る。声が通って聞き取りやすく、淡々とした説明が頭に入ってきやすくて良かった。
