パパ・アイ・ラブ・ユー (専科) 感想
―笑いに溢れた芝居と優雅で格好良いショー―

概要


原作はイギリスの作家レイ・クーニーの”It runs in the family”。専科の轟さん主演で、専科と宙組による公演。脚本・演出は石田昌也先生。
自身の将来が決まる重大なスピーチを目前に控えた医師デーヴィッド・モーティマーのもとに、かつての恋人ジェーンが現れる。彼女の口から隠し子の存在を知らされたデーヴィッドは事態を隠そうと嘘を重ねていくが、そのせいで大騒動になっていくコメディ作品。

 

感想のまとめ


最初から最後まで笑いに溢れた素敵な公演。決して下品にならないのはさすが宝塚。皆さんお芝居上手で決してバタバタ喜劇にならず、しっかりと見どころを見せてくれるところがまた素敵。
どうしようもなく情けないデーヴィッドを演じる轟さん、凄まじい風貌だけれどいい子だとすぐに分かる演技と目が素敵なレズリーを演じる留依さん、コミカルな演技の中でも誠実さがにじみ出ているヒューバート (悠真さん) が特に素敵。
ショーでは一転して優雅で軽やかなダンスと素敵な歌声を披露する轟さん、幕が下りるまでレズリーを忘れない留依さんが凄く素敵。

観劇日


2019/2/10 (宝塚バウホール)
初の宝塚バウホール公演も轟さん主演。

以下ネタバレ注意

感想


最初から最後まで笑いっぱなしの素敵な公演。BDが出れば迷わず買う。
デーヴィッドの嘘によってどんどんボタンを掛け違えていって、最後はハッピーエンドというのがとても素敵。デーヴィッドもちゃんと報いを受けるのでとてもすっきり。
上品ではないけれど、決して下品にならない絶妙な台詞回しはさすが宝塚で、安心して見ていられるコメディ公演。皆さん演技上手な方々で、バタバタした喜劇にならずしっかりと見どころを見せてくれるところが本当に良かった。
本編がコミカルな分、ショーは見惚れるぐらい格好良い。軽やかに歌って踊る轟さんと、格好良くて歌も上手な留依さんが特に素敵だった。
ショーではなんと轟さんの女装姿も!美人なナース姿からあの日一番の低音で響き渡る歌声というギャップが凄まじく、癖になりそうなギャップだった。
小芝居からフィナーレに入る演出もとても好き。幕が降りるまでレズリーでいてくれる留依さんのお芝居がとても光る。

以下個別の感想

  • デーヴィッド (轟さん)
    本当にどうしようもない男の演技がすごく素敵。レズリーの前での怯えた様子、ローズマリーの前で威厳を保とうとするけれどビクビクした様子が特に好き。最初の格好良い姿は何処かに吹っ飛ぶような、情けない姿が印象的。
    水を吹き出すシーンは必見で、まるで霧吹きのように噴き出す姿はまさに芸術。
    歌の調子も良くて、軽やかに響く低音はいつまでも聞いていたくなる。
    本編とショーで2回ある女装シーンも強烈。最初はものすごく似合わない女装で笑いを取り、ショーでは一転して美人なナース姿で登場。思わず見惚れていたら、あの「低音」で歌い出すという三段構え。あのギャップがとても強烈で癖になる。
    ショーでは普通に格好良くて、軽やかで優雅なダンスと素敵な歌声を披露してくれて大満足。
  • レズリー (留依さん)
    個人的にMVPで演技がものすごく良かった!凄まじい風貌で現れたので度肝を抜かれたけれど、根はいい子だということが伝わってくる演技と目が本当に素敵だった。途中名乗り出たデーヴィッドを否定するシーンは思わず貰い泣きしかけるぐらい良かった。
    ショーでは一転して格好良く美声を響かせていて、歌も上手。そして幕が下りるその瞬間まで手を振るのではなく、レズリーらしくポーズを決めていて凄く格好良かった!宙組を見る日が来たら、迷わず探そうと思うぐらい素敵。
  • ヒューバート (悠真さん)
    コミカルな演技の中でも誠実さが伝わってくるすごい人。途中からデーヴィッドはどうなっても良いから彼に報われて欲しい、と思ってしまうほどの良い人オーラ。随所で見せる美声もまた素敵だった。
  • ジェーン (愛白さん)
    ヒール姿で足をガクガクさせている姿がものすごく印象的。なんであんな動きをできるのか、正直今でもわからない。デーヴィッドの不倫相手でもあり、一人の女声でもあり、レズリーの母でもある。一人で3つの顔を演じ分ける演技がとても好き。
  • ローズマリー (遥羽さん)
    最初からなんとなく怖い人という印象だったけれど、最後に予感が的中。最後の怖いBGMがものすごくピッタリで本当に怖かった。思えば最初からプライドの強そうな態度だったり、どことなく怖そうだったりと最後のシーンのためのフリだったのかな。