空に刻んだパラレログラム
―シナリオが余りにも……―

概要


ウグイスカグラの3作目にして、初のスポーツ作品。
クオリアという魔法の力がある世界を舞台に、テレプシコーラと呼ばれる空を翔けるチーム競技に青春を捧げる学生たちの物語。

 

感想のまとめ


シナリオが足を引っ張っている作品。致命的なほど悪いシナリオのテンポ、終盤まで魅力的に見えないテレプシコーラ、薄すぎる個別ENDの三重苦。システム面は感動するほどパワーアップしていて、BGMも声優も良いがお勧めしない作品。
この作品を買うなら過去作品の「紙の上の魔法使い」や「水葬銀貨のイストリア」をお勧めする。

 

以下ネタバレ注意

再プレイする気はないので、感想は発売当初にプレイしたときのもの

 

良かった点


  • システム面が大幅パワーアップ
    3作目にしてとうとうシステム面が他社並みに。キャラが動いてカットインがバンバン入る。1作目の演出を考えると感動する成長ぶり。

  • 信頼と実績の音楽とキャスト
    ウグイスカグラ作品全般に言えるが、落ち着いた曲調のBGMを中心に、心地良いBGMが多い。また、声優は全員当たりと言わんばかりに合っているのは流石。

  • 面白い設定
    空を飛んで一つのヘイローを追いかけるテレプシコーラ。爽やかでとても魅力的な設定だし、事実中盤の後半~準決勝ではとても魅力的な競技だった。

 

悪かった点


  • 読むのが苦痛なシナリオ
    ライターの癖が致命的なほどテーマに合わない。非常にテンポが悪く、シナリオに没入しにくいので読むのが苦痛。回想を多用して視点を切り替えるたびに時間を少し戻すライターの癖が、スポーツ物と最悪の相性。過去作から考えてもテーマが合っていないことは見えていたが、どうやってアジャストするかを期待していただけにがっかり。買う前からこうなる可能性はわかっていたが、過去作から何も変えてこないとは思わなかった。
    3作の傾向として、テーマに大きく依存するタイプのライターと言えるかもしれない。この作品を買うくらいなら、過去作の「紙の上の魔法使い」をお勧めする。

  • 終盤まで魅力的に見えないテレプシコーラ
    テレプシコーラが終盤まで魅力的に思えず、「空を飛ぶ」設定だけで支えているのが致命的。序盤は試合がなく、よくわからない競技の地味な基礎トレが続く。中盤で試合が始まると、今度は使命感などのしがらみでプレイしている印象が強くなってしまう。終盤付近でようやく競技が魅力的に思える、驚きのスロースターターぶり。最初に歩の試合などを描写して、競技の魅力を出してくれれば違ったかもしれない。

  • キャラクターコンセプト全否定のTRUE決勝戦
    TRUE ENDの決勝戦。一番盛り上がるはずなのに、カーディナルスの3人目が桜坂なのにがっかり。せっかく下剋上に情熱をかける魅力的なキャラだったのに、主人公たちより格上のチームで、下剋上特化な能力で立ち塞がる。キャラの魅力を全否定する扱いに失望した。

  • 薄すぎる個別END
    前作で嫌な予感がしていたが、本作は個別ENDで第一チームの掘り下げをしてきた。前作からTRUE一極集中の傾向はあったが、ここまで来ると流石に酷い。個別を使って物語に厚みを出してこないので、必然的にTRUEも弱くなる悪循環。皮肉にもテレプシコーラの比重が下がるおかげで、文章のテンポがかなり良くなるのは唯一のメリットかも知れない。