蒼穹の昴―豪華絢爛な超大作―

概要


蒼穹の昴は浅田次郎による長編小説で、原田諒先生による脚本・演出作品。西太后の君臨する清国を舞台とした時代小説で、李春雲と梁文秀という架空の人物たちを中心に描かれた物語。原作では春雲が主役だが、宝塚版は文秀が主役となっている。

感想のまとめ


全4巻もの超大作を2時間という枠にうまく収めた大作。原作のイメージを尊重した配役、雪組と専科による重厚な演技、豪華絢爛な衣装や舞台を大きく見せる巧みな演出が素晴らしかった。削られた要素や改変された要素に不満がなくはないが、これだけうまくまとめられるのは原田先生だけだろうという会心の作品だった。
はまり役が多すぎるが、目を中心とした表情や仕草で機微を見せてくる彩風さんの梁文秀、全身全てでコンプレックスを表現している真那さんの袁世凱、宮中での振る舞いと内に秘めた思いの演じ分けがとても素敵だった一樹さんの西太后、宦官の存在を強烈に印象付けた透真さんの李蓮英が特にお気に入り。

以下ネタバレ注意

“蒼穹の昴―豪華絢爛な超大作―” の続きを読む

凱旋門を見比べて

概要


宝塚の凱旋門の初演版再演版とを見比べた際に、色々と異なる点が気になったので記事に起こした。

まとめ


初演と再演では随所に違いが見られるが、最大の違いは物語の結末。絵面が美しい初演版と凱旋門が象徴的な再演との間で好みが分かれる要素になっている。個人的には再演版のほうが好み。演じ方も変わっていて、ラヴィックの変化が作品の雰囲気に与える影響力は必見。

以下ネタバレ注意

“凱旋門を見比べて” の続きを読む

デパートメント・ストア/凱旋門 感想 ―初観劇の初演版―

概要


デパートメント・ストアは正塚晴彦先生による作品で、老舗百貨店がリニューアルシていくさまを描いたショー作品。凱旋門はレマルクの小説を原作とした作品。脚本は柴田侑宏先生、演出は謝珠栄先生。第二次大戦が近いパリを舞台に、亡命者の医師ラヴィックと女優ジョアンの生き様を描いた作品。

感想のまとめ


デパートメント・ストアは華やかな衣装が印象的なショー作品で、抜群の安定感を誇る轟さん・月影さんと香寿さんを中心にトップ付近の誰が歌って誰が踊ってもクオリティの高さが特長。
凱旋門は重厚なストーリーと映画のような美しさが特長の作品。どこを切り取っても絵になるラヴィックとジョアンのラブシーンやクライマックスシーンがとても綺麗で、ぜひ見てほしい作品。終わり方に違和感があるものの落ち着いたムードがとても心地よく、何度も見返したくなる。

以下ネタバレ注意

“デパートメント・ストア/凱旋門 感想 ―初観劇の初演版―” の続きを読む

ODYSSEY 感想―公演中止を乗り越えて出港―

概要


ODYSSEYは野口幸作先生の作・演出による作品。ODYSSEY号を率いる海賊船の船長ブルームが、月の女神セレネと太陽の神アポロンに誘われて世界を巡っていくレビュー作品。
同年上旬に予定されていた公演だったが、コロナによる中止を受けてこの時期へ変更となった作品。

感想のまとめ


バリエーション豊かな衣装が売りのショー作品で、様々な衣装と衣装が映えるダンスを楽しむタイプの作品。抜群の着こなしや、眉を主体とした表情で心情を見せる彩風さんの強みを活かした構成で、叶さんや眞ノ宮さん、音彩さん、華世さんといったメンバーの活躍が光る公演だった。一番のお気に入りはカルメンのシーンで、彩風さんの表情は必見。

以下ネタバレ注意

“ODYSSEY 感想―公演中止を乗り越えて出港―” の続きを読む

夢介千両みやげ/Sensational! 感想 ―平和な王道時代劇―

概要


夢介千両みやげは山手樹一郎による時代小説で、石田昌也先生の脚本・演出による作品。小田原の庄屋の息子である夢介が、千両を使って江戸での道楽修行に勤しむ時代小説。「桃太郎侍」や「遠山の金さん」といった有名作品を手掛けた山手樹一郎の王道物語。
Sensational!は中村一徳先生によるショー作品で、愛や夢、そして希望をテーマにした作品。

感想のまとめ


夢介千両みやげは肩の力を抜いて楽しめる、王道の娯楽系時代劇。物腰の柔らかいお人好しで、人のために生きる夢介の良さがとても良く表現されていた。登場人物が多く、エピソードや小芝居が多い点も素晴らしい。歌唱シーンも華やかで、キャッチーなフレーズと演出が素晴らしかった。脚本のアレンジが残念なのが玉に瑕。

Sensational!は歌もダンスも激しく、めるくめくように場面が変わるショー。ダンサー揃いの雪組での激しいダンスやふんだんに盛り込まれた銀橋渡り、手厚い餞別が光る素晴らしいショー。

お気に入りは、絶妙な掛け合いと間延びした声で夢介の器の大きさと人柄の良さを上手く見せてくれた彩風さんの夢介、チャキチャキしていて美しい所作とヤキモチ焼きな押しかけ女房ぶりがとても素敵だった朝月さん、素晴らしい歌唱力とダンスが素晴らしかった和希さん、歌って良し演じて良し踊っても良しな久城さん、地味な田舎娘ぶりの仕上げ方が素晴らしかった野々花さんのお松、オーロラの場面での歌唱力の飛躍が目覚ましかった縣さん。

以下ネタバレ注意

“夢介千両みやげ/Sensational! 感想 ―平和な王道時代劇―” の続きを読む