凱旋門 / Gato Bonite!! (雪組) 感想
―人生初の宝塚―

概要


原作はレマルクの同名小説。脚本は柴田侑宏先生、演出は謝珠栄先生。2000年に主演した轟さんが再び主演を演じた公演。雪組メンバーとともに行われた公演。
【凱旋門】
第二次大戦中のパリを舞台に、亡命者 (不法入国者) の医師ラヴィックと女優ジョアンとの恋愛、かつての恋人をナチスのゲシュタポに奪われたラヴィックの復讐、そして戦争の影が忍び寄ってくるパリを描いた物語。
【Gato Bonito!!】
猫をモチーフにした、ラテン系を思わせるショー。

感想のまとめ


人生初の宝塚がこの公演で本当に良かった。今の私が宝塚に夢中になっている原点で、忘れられない素晴らしい思い出。

  • 凱旋門
    しんみりとする演目で、この公演を見られて本当に良かった。大人の包容力と復讐に行き急ぐラヴィックを演じる轟さん、ラヴィックとアンリの愛を受けて輝くまるで月のようなジョアンを演じる真彩さん、素晴らしい歌声で劇の要所を支配する望海さん、短いシーンながらケートの生き様とラヴィックとの関係を完璧に見せてくれた沙月さんが本当に素晴らしかった。
    ラヴィックとジョアンが最後に演じるシーンが一押し。

  • Gato Bonite!!
    凱旋門の空気を吹き飛ばす、華やかで情熱的なショー。圧倒的な歌と踊りで、元気をもらえる演目。私が彩風さん贔屓になったきっかけの演目。素敵な歌声と情熱的なダンスが素敵な望海さん、凱旋門から一転してまるで太陽のように輝く真彩さん、凄まじい格好良さと色気、素敵な笑顔を誇る彩風さん、見返せば見返すほど好きになる彩凪さん、凱旋門とはだいぶ印象の変わる朝美さんが特に素敵。
    エキゾチックナイトのシーンの格好良さと色気あふれる彩風さんが一押し。

観劇日


2018/06/15 (宝塚大劇場)
記念すべき人生初の宝塚は予習ゼロで観劇。

以下ネタバレ注意

感想 (凱旋門)


人生初の宝塚がこの公演で、本当に良かったと思う。この公演がなければ、今の宝塚に夢中な私はいないと確信するぐらい素晴らしい公演だった。
目はラヴィックの一挙一動に奪われ、耳はジョアンとボリスの歌声に魅了され、夢の世界へ迷い込んでしまったかのような一時だった。ラヴィックが現れた瞬間に「あ、これがスターなのか」と感動するぐらい格好良かった。
激しくもしっとりとしたラヴィックとジョアンの恋愛、激動を迎えるパリ、ラヴィックの復讐とジョアンの死、そしてラヴィックとボリスの別れと強烈な印象とともに駆け抜けていった公演で、あの衝撃は多分生涯忘れないと思う。
ラヴィックがジョアンよりも復讐を選んだ時点でこの結末は不可避だし、仮にラヴィックがジョアンを選んでも二人はうまく行かなかったと思う。ただ復讐を遂げたことでラヴィックから憑き物が落ちて、あの最期のひとときを迎えたと思うと、この作品はこの結末が一番良かったのかな、と思う。

以下個別の感想

  • ラヴィック (轟さん)
    初登場でのあの衝撃は、生涯忘れない。スーツ姿が似合うとかの次元ではなくて、あぁこれがスターなのかと心が納得するオーラだった。演技がすごく素敵で、大人の包容力を出しつつもどことなく生き急いでいる感覚、ジョアンといる時のあの優しそうな表情や声色の演じ分けがとても好き。ジョアンといるときの、あの幸せそうなラヴィックがたまらなく好き。
    オペラで見ないと気づけなかったけれど、手付きの演じ分けも繊細で好き。ジョアンといるときとは優しげに、シュナイダーといるときは力を込めた演じ分けがとても素敵で、手でも感情を語る演技がとても良かった。
    歌は高音域で喉が辛そうだったけれど、あの命を削りながら歌うような姿がラヴィックの生き様と凄く合っていて、私は凄く好きだった。
    ジョアンの最期のシーンは作中で一番好きなシーンで、あの優しげなラヴィックを見ると涙が止まらなくなる。ジョアンが力尽きるまでジョアンの手を握れなかった演技が、ラヴィックの全てを象徴しているようで凄く好き。

  • ボリス (望海さん)
    轟さんの他にもう一人オーラが凄まじくて、凄まじく歌の上手な人がいる!と気になっていたのが、雪組トップの望海さん。望海さんが歌うと劇場の空気が変わるようで、こんなすごい人がいるのか、と思ったのが第一印象。
    役柄がストーリーテラーなので落ち着いた演技が多かったけれど、要所要所で素晴らしい歌でお芝居を変えていくこの役は、あとで振り返ると望海さんにしか出来ない役だったと思う。
    ボリスとラヴィックが最後に別れの抱擁のするシーンの演技がすごく良くて、あぁ、これは男同士の今生の別れだなぁ、と涙が出てくるぐらい良かった。

  • ジョアン (真彩さん)
    ラヴィックやアンリの愛を受けて輝く、まるで月のような人だなぁという第一印象。一人になると消えてしまいそうなほど儚げで、愛されるとキラキラ輝く、そんな真彩さんの演技が凄く好き。歌がものすごく上手くて、ラヴィックと寄り添いながら歌うシーンが凄く好き。最期のシーンで死にかけているのに幸せそうなジョアンが凄く好きで、そこから死を迎えるまでの演技が凄く好き。

  •  アンリ (彩風さん)
    見せ所の少ない役で、今振り返ると結構不遇な役だなぁという印象。育ちが良さそうで挫折を知らなそうな感じが好き。だからこそあの悲劇を起こしてしまったのだろうけれど…。

  • ヴェーベル (彩凪さん)
    見せ所の少ない役だったと思う。あまりに自然なお医者様で、役というよりまさしく医者という印象だった。彩凪さんの演技力の恐ろしさを見ていたんだなぁ、と気づいたのは観劇の翌日だった。

  • ハイメ (朝美さん)とユリア (彩みちるさん)
    ラヴィックじゃなくても幸せになってほしいと思う初々しい二人。激動のパリで二人の姿が癒やしだった。なんて好青年たちなんだろうか。

  • ケート (沙月さん)
    出番は1シーンだけれど、強烈な印象だった。大人のゆとりある女性の演技がすごく素敵で、あの1シーンでケートという人の生きざまと、ラヴィックとの関係の全てが伝わってくるとても素敵な演技だった。

感想 (Gato Bonite!!)


圧倒的なパワーに魅了されているショーで本当に幸せだった。華やかで歌も踊りも素敵で、凱旋門のしんみりした空気を吹き飛ばす演目だった。最初にますみさんが高らかに歌い上げた時点で、心がドキドキしてくるぐらい素敵だった。
階段降りはイベントのときだと持っていたので、もう終わっちゃうのかな→まだ続いてくれる、を何回か繰り返して、最後に階段降りが来た時はびっくりした。特に好きシーンはみんなが舞台を列になって移動していくシーンで、ジェンヌさんたちが現れては消えていく夢のような時間だった。
途中で出てきた女性たちは誰なんだろう…と思っていたけれど、BDで彩風さんたちだと知ったときは衝撃だった、男役との演じ分けが凄すぎて気づかなかった。

以下個別の感想

  • 望海さん
    あの落ち着いたボリスから一転して、激しいのが凄く似合う人でびっくり。本当に歌が上手で、いつまでも聞いていたくなるぐらい素敵。激しく情熱的なデュエダンも素敵で、死角がないどころか全てが長所という感じがとても好き。

  • 真彩さん
    凱旋門とのギャップが凄まじかった。凱旋門ではまるで月のような印象だったのに、Gato Bonite!!ではまるで太陽のようにキラキラしていた。素敵な笑顔と響き渡る歌声がとても素敵だった。

  • 彩風さん
    彩風さんが最初に登場したシーンが凄く印象的で、彩風さん贔屓になったのはこれがきっかけだと思う。あの格好良さ、溢れ出る色気、聞き心地の良い歌声、そしてあの笑顔の良さ。エキゾチックナイトの人がすごく格好良かった、というのがGato Bonite!!での第一印象になるぐらい素敵だった。天才的なメロディーでの格好良さの中に少しの可愛さが見える姿も素敵。
    後半の彩風さんの歌で望海さんが踊るシーンでは、彩風さんの色気溢れる歌声と望海さんの色気溢れるダンスとが融合して、凄い色気になっていて好き。
    後日BDで見直したら、いつもいい笑顔を見せてくれるので、尚更好きになる。本当に笑顔が素敵な人だと思う。

  • 彩凪さん
    観劇時は歌の声質が好きだなぁ、という印象。BDで見返すと動きのキレが凄く良くて、見れば見るほど好きになる人。技術の粋を極めた格好良さ、という感じの職人気質な感じが大好き。

  • 朝美さん
    凱旋門では好青年、ショーではちょっと印象が変わってまた素敵。