水葬銀貨のイストリア 感想
―TRUEとBADが良い―

概要


紙の上の魔法使い」で脚光を浴びたウグイスカグラの2作目。
舞台は人魚姫の伝説が語り継がれている人工海上都市のアメマドイ。野望と陰謀が影で渦巻くこの街を舞台にした物語で、ポーカーがキーアイテム。キャッチコピーは「―ハッピーエンドを、約束しよう」。

感想のまとめ


伏線回収と終盤の盛り上がりが凄いシナリオゲー。個別ENDはかなり微妙だが、TRUEとBAD ENDの完成度がピカイチ。人魚姫、ポーカーなどの設定を巧みに使ってシナリオを盛り上げている。キャラクターは茅ヶ崎征士の悪役ぶりがピカイチ。あまりに多すぎる誤字、TRUEと比べて弱すぎる個別END、テンポの悪い文章がネック。前作「紙の上の魔法使い」を楽しめたユーザーならばこの作品も楽しめるはず。

 

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ゲルニカ―仕方なくてやるせない―

概要


Nightmare Syndromeによる作品。NS作品でも屈指の鬱ゲーでリメイク前の作品。
青年は獣のような唸り声から逃げるように、わけも分からず遊園地内の城に駆け込んだ。そこは大人を敵視している子どもたちによる未完成の国だった。子どもたちは青年を殺そうとするが、何故か青年は体をバラバラにされても死ななかった。死ぬことも国を出ることもできない青年は、子どもたちが対処法を見つけるまで国内で暮らすことになる。そんな不思議で不条理な国での、青年と子どもたちの物語。

感想のまとめ


不条理で救われない超弩級の鬱ゲー。絶望感に満ちたゾクゾクするような演出が光る作品。呆然としてしまうような、あまりにもやるせない結末はオンリーワン。マリア、メイとビースト、ダフネがお気に入り。


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紙の上の魔法使い 感想
―ウグイスカグラ作品で随一のシナリオとギミック―

概要


ウグイスカグラの初作品であり、シナリオに定評のあるウグイスカグラの代表作。
舞台はとある島の小さな個人図書館。「書かれた物語を現実に再現してしまう」、そんな不思議な魔法の本とともに紡がれていくストーリー。キャッチコピーは「君と本との恋をしよう」。

感想のまとめ


最大の特長はウグイスカグラ作品でも随一の完成度を誇るシナリオ。ウグイスカグラ作品を購入するならばこの作品がおすすめ。この作品を楽しめたら、次回作の「水葬銀貨のイストリア」もおすすめ。
回想と魔法の本によって掘り下げられていく物語、劇中劇としてテンポの良いアクセントとなる魔法の本、過不足のないボリューム、テーマを完璧にまとめ上げたエンディングとどの要素も素晴らしい。
魔法の本のギミックが絶妙で、テンポよく紡がれていく物語は劇中劇として楽しめるだけでなく、物語の展開やキャラクターの掘り下げに重大な役割を持っている。
伏線の回収も巧みで、早めに回収されて心地よく読み進められるもの、忘れた頃に回収される大きな伏線など、使い分けも良い。

良かった点


【システム・シナリオ】

  • 完成度の高いシナリオ
    シナリオの完成度はウグイスカグラ3作品 (2020年4月現在) の中でも随一で、ウグイスカグラ作品をプレイしたい人におすすめ。この作品を楽しめたら、次回作の「水葬銀貨のイストリア」もおすすめ。
    ライターのルクルさんとテーマとの相性が抜群。回想と魔法の本によって掘り下げられていく物語、劇中劇としてテンポの良いアクセントとなる魔法の本、過不足のないボリューム、テーマを完璧にまとめ上げたエンディングとどの要素も素晴らしい。

  • 魔法の本のギミックが絶妙
    書かれた物語を現実に引き起こしてしまう、魔法の本。この扱いが絶妙。テンポよく紡がれていく物語は劇中劇として楽しめるだけでなく、物語の展開やキャラクターの掘り下げに重大な役割を持っている。使い方も巧みで、後で感心するような使い方が目立つ。

  • 伏線回収のテンポが良い
    伏線かな?と思ったものの多くは回収されていく。早めに回収されて心地よく読み進められるもの、忘れた頃に回収される大きな伏線など、使い分けも良い。

【キャラクター】

  • 印象的なキャラクター
    各キャラクターは作中での役割がはっきりしている。そのため見せ場では、スポットライトを浴びて輝くように強烈な印象を残す。どのキャラクターも印象深いが、妃とかなたは一度見たら忘れられないような強烈な印象。

  • ボイスはイメージにぴったり
    ウグイスカグラ作品はどのキャラクターもイメージ通り。憎らしく思えるようなクリソベリル、不慣れな激昂で息が漏れがちになる夜子が特に良い。

【音楽】

  • 数は少なくとも印象に残る楽曲
    実はウグイスカグラの一番の強みかもしれない、めとさんの音楽。どの曲も印象的で、OPやEDがないことの不満も吹き飛ばすような余韻ある音楽。特に廃教会での音楽がとても良い。

【絵】

  • 癖のない、可愛らしい絵柄
    シナリオは癖が強いが、絵は癖がなく可愛らしい。シナリオに対して清涼剤のような役目を果たしている。

人を選ぶ点


【シナリオ・システム】

  • 凄まじい量の誤字脱字
    推敲せずにマスターアップしたかと疑うような、凄まじい量の誤字脱字。誤変換や怪しい日本語も多く、誤字をスムーズに読み替える能力は必須。次回作以降も改善していないので、ウグイスカグラ作品を楽しめるかのリトマス試験紙になる。

  • OP/EDすらないシステム面
    テーマ的に演出がないことがあまり気にならないが、演出らしい機能は殆どない。OP/EDすらないのはとても残念。ちなみに修正パッチを当てないと、あるシーンでセリフごとに早着替えを繰り返すバグが発生する。
    余談だがYouTubeにて本作のプロモーションビデオが公開されていて、そのクオリティがとても高い。それ故にOP/EDがないことがとても悔やまれる。

  • 各エンディングはかなりあっさり
    TRUEに向けてすべてをまとめ上げるライターなので、各エンディングはかなりあっさり。本作では書くべき物語をすべて語り終えているので満足だが、人によっては不満を持つかもしれない。

  • 予想と異なる方向へ進む物語
    予想と異なる方向へ進んでいく物語なので、パッケージや体験版から結末を期待しないほうが良いかもしれない。

【キャラクター】

  • 役割が明確すぎるキャラクター
    キャラクターの役割が明確なので、キャラクターが躍動するというよりも、物語を演じるためにキャラクターがいる印象を受ける。劇のような役割分担は、好き嫌いが分かれるかもしれない。

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鬼ガナクセカイガ魔王
―殺さない選択の素晴らしさ―

概要


Nightmare Syndrome様による作品。
ある化学者があらゆる病気を治す特効薬を発明した。世界に平和が訪れたが、平和な世界では生きていけない医療研究所は絶望していた。彼らが新たに発明したウィルスによって、世界は奇病患者で蔓延してしまった。特効薬を発明した化学者は完全な延命装置を1台発明するも殺害されてしまい、延命装置は闇ルートに流れてしまう。たった一台の延命装置が存在する、奇病が蔓延した世界で生きる末期の奇病患者たちの物語。
ブログでBAROQUEを好きと語っていたためか、どことなくBAROQUEを思い出す世界観。

感想のまとめ


不条理な世界観なのに、爽やかな読後感が素晴らしい作品。緊迫感のある戦闘シーンとお屋敷での穏やかな時間の緩急がとても良い。紅葉の生き方にメンバーが感化されていく流れがとても素敵。ロサとゴズメズがお気に入り。

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しらゆきひめからしんでれらまで。
―主の衣装替えを楽しむ平坦な物語―

概要


Nightmare Syndrome様の作品。素晴らしいお屋敷に住む主のお嬢様と、彼女に仕える執事長のおとぎ話。主様の衣服と装飾品を変えながら、他愛ない日常といろいろなおとぎ話を楽しむ作品。

感想のまとめ


平坦な物語だけどそれが良い。主の衣装の変わり方がとても映えていて、お屋敷の退屈さも体感できる面白さ。最後まであっさりと終わるので読後感もスッキリとした作品。記憶に残りやすいおとぎ話が後々の伏線になっている演出も良い。

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